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  1. 荒川区議会 2019-02-01
    02月13日-01号


    取得元: 荒川区議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-12
    令和元年度定例会・2月会議荒川区議会会議録(第一日)==============一、日時 令和二年二月十三日 午前十時一、場所 荒川区議会議場一、出席議員(三十二名)  一番 久家 繁君  二番 小坂英二君  三番 夏目亜季君  四番 宮本舜馬君  五番 山田晴美君  六番 相馬ゆうこ君  七番 北村綾子君  八番 小林行男君  九番 横山幸次君  十番 斉藤邦子君 十一番 小島和男君 十二番 鎌田理光君 十三番 町田 高君 十四番 中島義夫君 十五番 菅谷元昭君 十六番 明戸真弓美君 十七番 茂木 弘君 十八番 小坂眞三君 十九番 並木一元君 二十番 斎藤泰紀君二十一番 北城貞治君二十二番 志村博司君二十三番 河内ひとみ君二十四番 藤澤志光君二十五番 竹内明浩君二十六番 清水啓史君二十七番 山口幸一郎君二十八番 増田峰子君二十九番 森本達夫君 三十番 菊地秀信君三十一番 松田智子君三十二番 保坂正仁君一、欠席議員(なし)一、出席説明員区長  西川太一郎君副区長  佐藤安夫君副区長  北川嘉昭君総務企画部長  五味智子君財政担当部長  宮腰 肇君区政広報部長全国連携担当部長  米澤貴幸君管理部長  梅原一彦君区民生活部長  阿部忠資君地域文化スポーツ部長  古瀬清美君産業経済部長  石原 久君環境清掃部長  池田洋子君福祉部長  片岡 孝君健康部長  石原 浩君健康推進担当部長  東山忠史君子育て支援部長  青山敏郎君防災都市づくり部長  松土民雄君再開発担当部長都市計画担当部長  松崎保昌君会計管理部長会計管理債権管理担当部長  丹 雅敏君総務企画課長  小林直彦君教育長  高梨博和君教育委員会事務局教育部長  三枝直樹君選挙管理委員会委員長  戸田光昭君代表監査委員  齋藤暢生君一、職務のため出席した事務局職員事務局長  濱島明光庶務係長  小原 実議事係長  伊藤智徳主任主事  染谷沙織主事  堀川光佑主事  山本麻由来主事  松元 翼企画調査係長  細井貴洋議事日程 令和元年二月十三日 午前十時開議第一               一般質問について           午前十時開議 ○議長(茂木弘君) ただいまより二月会議を開きます。 二月会議の会議期間は、本日から三月十三日までの三十日間といたします。 この際、区長より令和二年施政方針説明のための発言の申し出がありますので、これを許可いたします。   〔区長西川太一郎君登壇〕 ◎区長(西川太一郎君) 令和元年度荒川区議会定例会・二月会議の開会に当たり、私の区政運営に関する所信の一端を申し上げ、区民並びに区議会の皆様方の御理解と御協力をお願いいたしたいと存じます。 いつの時代でも、人々は、自らの人生や大切な人を思い、幸福を切望し、追求してまいりました。人生の折に触れて誰しもが抱くそうした思いを大切にするため、私は、区長就任以来一貫して、誰もが幸福を実感できる地域社会を目指して、微力ではありますが、全力で取り組んでまいりました。 こうしたことを理想とする社会は、区民お一人お一人がそれぞれの個性、そして、能力を最大限に発揮せられて、光り輝く社会でもあるというふうに信じております。その実現は、言うことは易く、これを行うは大変難いものがあるとも一方で思います。しかし、区民の皆様が、お互いがそれぞれ持っている個性の違いを認め、思いやりや助け合い、そういう気持ちを持って日々暮らしていくことが肝要でもあり、それはこの荒川の地に息づいた人々のことを互いに思いやり、郷土と地域社会を愛する温かい心が共通するものであると信じております。 今、我々が住んでいるこの日本という国では、家族の在り方やコミュニティ社会の在り方を取り巻く状況が日々激しく変化し、御高齢者や障がいのある方、そして、子どもさんたちなど社会的に弱い立場の方々を支える力の低下が指摘されているのではないかと私は若干心配をいたしておりますし、そのことに対して、いささか努力を傾注していかなければいけないという覚悟の下に、所信を申し上げたいと存じます。 近年、虐待によって、未来社会の守護者とも言えるお子様たちが健やかな成長を阻害されているということがあるのではないでしょうか。尊い命が失われる痛ましい事件が相次いでおることは、憂慮に堪えないと存じます。 こうした課題の解消に向けて、住民に最も身近な存在としての私ども基礎自治体が、お子様たちを守るための権限を、そして、責任を有する児童相談所を開設・運営し、地域ぐるみでお子様たちの安全と健やかな成長を支えるべきだと考えており、その実現のために精いっぱい努力を払って取り組んでまいりたいと存じます。 新年度には、こうしたことがようやく具体的な形となって実現する運びとなってまいりました。このような取組を機に、これまで以上に区政の各分野において、より多くの区民の皆様のお力をおかりしながら、地域力の輪をさらに大きく広げ、お子様たちをはじめ、御高齢者や障がいのある方など、あまねく区民の皆様を優しく包み込み、笑顔を広げ、そして、大きく前進できるような施策を強力に区議会議員の方々と力を合わせて進めていかなければならないと考えているところであります。 このたび編成をさせていただきました令和二年度予算は、このような思いで施策を具体化したものでございます。次代を担うお子様たちの成長を見守る取組をはじめ、暮らしを支え、安全・安心を確保する取組や生活に潤いをもたらす、また、まちの活力を高める、こうしたいろいろな取組を盛り込んだつもりであります。区政の各分野で区民サービスのさらなる充実を図れますよう、より一層邁進してまいりたいと存じます。 令和二年度一般会計予算案は一千七十億円、前年度に比べて四十七億円、四・六パーセントの増でございまして、当初予算といたしましては過去最大の規模になっております。「区民の安心と元気を育む幸福実感予算」として編成をいたしました本予算の主な施策について御説明をさせていただきたいと存じます。 初めに、子育て施策でございますが、ただいま申し述べましたとおり、児童相談所を開設し、お子様たちに関わるあらゆる相談に対応いたしますとともに、支援が必要なお子様たちや御家庭への迅速な対応を図るなど、従来からのきめの細やかな対応に加えまして、基礎自治体の強みを生かして、地域の関係機関とも連携をしっかり行い、顔の見える形での連携を図ってまいりたいというふうに存じます。すなわち、より一層こうしたことを強化することによって、予防的支援が充実できますように努力を払ってまいりたいと存じます。さらに、里親の登録数の拡大に向けた取組や児童養護施設の誘致を進めてまいりたいと存じます。 また、待機児童対策といたしましては、保育需要が見込まれる地域に五園の保育園を整備することで、二百九十人を超える保育定員を拡大できることになります。さらに、小中学校の生徒の皆さんの学力向上に向けて、これまでの各学校において放課後等に行っておりました学習支援のためのあらかわ寺子屋等に加え、全ての区立中学校の一年生の方々を対象として、夏季休暇期間を利用して、民間のノウハウも活用させていただきながら、短期集中型の講座による各生徒諸君の学習到達度のレベルに合わせて、補習の機会を充実させていきたいというふうに考えております。 福祉施策の分野では、御高齢者が住み慣れたこの荒川の各地域で御自分らしい生活に継続的にお住まいが続けられるように、多様な介護予防事業等を展開するとともに、区民の皆様が主体となられて行っていただいております高齢者の集える場づくりなどの活動への御支援をさせていただきたい、これを推進したいと存じます。 さらに、区内で生活する全ての障がいのある方々や、また、その御家族の方々への相談、御支援の拠点となる基幹相談支援センターを新たに開設したいと思います。 安全・安心の分野の施策では、台風十九号等の災害状況などを踏まえ、新たな情報システムを導入して、避難勧告等情報伝達体制を充実してまいりたいというふうに思います。水害時に備えた本庁舎の非常用発電機の充実、また、排水ポンプや蓄電池の配備など、また、防災対策の強い実現を、これらをベースにしながら努力をしてまいりたいと存じます。 また、自転車の保険加入、点検整備というものが同時にできるTSマークの取得の支援でございますとか、お子様たちを対象とした自転車安全講習会への一層の御参加をお願いするなどの充実を図ってまいりたいと存じます。 さらには、御高齢者の皆様が運転免許証の自主返納を促進していただくための新たな制度の導入、自転車、子ども、御高齢者の事故ゼロというものを目指した取組を精力的に推進してまいりたいと存じます。 次に、まちづくり施策の分野では、木造住宅の密集した地域での老朽建築物の建て替えの促進または除却、こういうものに力を払ってまいり、これによって不燃化のまちを作っていきたいと存じております。 あらかわ遊園においては、令和三年夏の開設を目指し、全天候型の室内遊び場の新設や休憩・食事スペースの拡張等、ファミリーでさらに利用しやすく、安心して楽しめる魅力的な施設となるような、バリアフリー対応を含めた全面リニューアルの施策を引き続き前進をさせてまいりたいと思います。 また、お子様たちから大人の方々まで楽しみながら御利用いただける宮前公園を整備させていただきますとともに、令和四年度の開設に向けまして、東尾久と日暮里地域において新たに二館のふれあい館を建設させていただきたいと、これを今年度着手させていただきたいと存じます。 文化・スポーツ施策の分野では、「読書を愛するまち あらかわ」のさらなる展開を図るために、公園の四季折々の雰囲気を感じられる、こうした読書環境を楽しむことが可能になる新たな尾久図書館を宮前公園内に開設をさせていただきます。 また、令和二年度にリニューアルオープンさせます荒川総合スポーツセンターのさらなるスポーツ事業の推進に御利用いただけるよう、競技観戦などにつきましても、小中学校におけるオリンピックパラリンピック学習聖火リレー到着を祝うセレモニーの開催、また、パブリックビューイングが可能になる施設などをはじめとした区民の皆様のオリンピックパラリンピックに向けての充実した体感をしていただけるような関連イベントをしっかり行ってまいりたいと存じます。 このことについて、都庁において、その権限の基となる方に先日このことを御相談申し上げましたところ、道路交通法を遵守せられ、安全のうちに行うことについては十分御相談に乗っていただけるという御回答をいただきましたことをこの機会に申し上げさせていただきます。 次に、産業・コミュニティ施策の分野では、日暮里繊維街ファッション関連創業支援施設でございますとか、工房でありますとか、地域の身近な行政サービスの拠点でございますとか、こういうものをしっかり作っていかなければいけない。そのためには、区民事務所等からなる日暮里地域を活性化するための施策を開設してまいりたいと存じます。 さらに、区内の物づくりのための御協力をいただく事業者の方々が、防音等の改修工事を行う際の補助制度を新たに創設をさせていただき、事業所周辺での生活環境の改善・向上を図るとともに、事業継承を御支援させていただきます。加えて、区内中小企業の皆さんが新製品などの開発のためにクラウドファンディングを活用せられる、その資金調達をする際に手数料の一部を補助させていただくなど、中小事業者への御支援を充実してまいりたいと存じます。 環境施策の分野では、区施設で使用する電力の環境負荷の減少を図る新電力が一括して調達できるような、さらなるコスト削減と二酸化炭素の排出量の削減に邁進しなければならないと存じます。 以上、令和二年度予算の主要な施策について申し述べさせていただきました。より多くの区民の皆様に幸福を実感していただけるまち荒川区を目指して、限られた財源の中ではありますが、中長期的な視点をしっかり持って優先順位をきちんと守り、必要な事項を予算化したものでございます。 我々が今、まさに手がけようとしております日々の取組など、目の前の区民の皆様がいろんな意味でお困りごとが即時解決できますように、まちづくり、人づくり、仕組みづくりなど、実を結ぶまで継続しながら、歳月を要するものではありますが、しっかり取り組んでいきたいというふうに思います。 今、まいた種が季節ごとに咲き誇るばかりでなく、将来、区民の皆様の幸福という実をしっかり結ぶように、未来を見据えて、今なお反省もしながら、そしてまた、今すぐやるべきことをしっかりと区議会議員の方々とも御相談を行いながら、一人一人が明日への希望とそれぞれの花を大切に大きく咲かせていける、こうした国でありたい、まちでありたいという願いを込めて編成したものであります。 令和の時代に生きる我々の使命を改めて十分に認識していかなければいけないというふうに思います。本年もそのような強い思いで、全ての職員の先頭に不肖は立ち、区民サービスの充実と質の向上にも全力を払い、精いっぱい取り組んでまいる決意でございます。区議会議員の方々並びに区民の皆様におかれましては、より一層の御支援、御理解を心からお願い申し上げるものであります。 二月会議には、令和二年度一般会計予算案及び各特別会計予算案をはじめ、多くの条例案を御提出申し上げております。いずれも区民生活、そして、区政運営上、重要な案件でございます。十二分な御審議を賜り、御可決をいただきますようお願いを心から申し上げまして、不肖の所信の表明とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。 ○議長(茂木弘君) 出席、欠席議員数を報告いたします。出席三十二名、欠席なしでございます。 二月会議の会議録署名議員を定めます。本件は、会議規則第百二十条の規定により議長より御指名申し上げます。        九番   横 山 幸 次 議員        十八番  小 坂 眞 三 議員        二十九番 森 本 達 夫 議員 以上、三名の方にお願いいたします。 日程第一、一般質問について。 ―――――――――――――――◯――――――――――――――― △一般質問について ○議長(茂木弘君) 一般質問の通告がありましたので、順次発言を許可いたします。 二十二番志村博司議員。   〔志村博司君登壇〕 ◆二十二番(志村博司君) おはようございます。自由民主党荒川区議会議員団を代表して質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 昨年十二月に中国武漢市で発生した新型コロナウイルスが大変な勢いで感染が拡大しております。顧みますと、平成二十年の本会議で新型インフルエンザの対策について、私は質問をいたしました。西川区長が早速この問題を重大に受け止めていただき、補正予算で陰圧テント、防護衣、マスク等々の装備品を購入し、新型インフルエンザの発生に備え、さらに区長会や東京都、国などにも働きかけをしていただいたことを思い起こしております。その後、荒川区議会では、新型インフルエンザの対策に特別委員会で取り組んできましたが、幸い、我が国ではパンデミックに至るような事態は起きてきませんでした。 昨日の段階では、中国国内での感染者数が四万四千人を超え、死者も千人を上回っております。日本国内の発生状況は、厚生労働省の発表によると、陽性患者数が国内事例で十六人、二月六日の発表以来増加はしていないようであります。また、チャーター機帰国者の感染は一昨日二人増えて十二人となりました。そのほか、クルーズ船での感染が連日のように報道され、深刻な事態に至っております。 日経新聞の社説にこのようにありました。「政府は正しい情報を的確に発信してほしい。専門家も根拠を示し、節度ある発言に努めなければならない。それを伝えるメディアも情緒的にならないよう自戒したい」、まさにそのとおりだと思います。 そこで、このような状況を受けて、荒川区として今までどのような対策を講じてきて、今後どのような対策を取っていくのかをまずお伺いいたします。 次に、令和二年度予算についてお伺いします。 近年の景気拡大により、雇用・所得環境は改善の傾向にあるものの、通商問題や海外経済の動向、また、中国を発信源とする新型肺炎の世界経済に与える影響も懸念されているなど、先行きは不透明感を増しています。 そういう中で、来年度の東京都予算は、昨年に次ぐ過去二番目の大型予算であり、七兆三千五百四十億円であります。しかし、都税収入は地方法人課税の見直しの影響で、法人二税が前年度比一二・五パーセント減、地方譲与税も国の偏在是正による地方法人課税の見直しの影響で八一・八パーセント減となることが見込まれていて、都区財政調整交付金にも影響を及ぼしかねない憂慮する状況であります。 荒川区では、今後一層の充実が求められる少子高齢化対策首都直下地震や水害等の自然災害への対応、施設やインフラの老朽化への対応、子どもの健やかな成長を支える環境整備や持続可能なまちづくりなど、多くの財政負担を伴う重要かつ困難な課題が山積しております。こうした要請に的確に応えていくためには、区民が求める区民サービスを効果的・効率的に実施し、区民の暮らしが向上し、安全・安心に暮らすことのできるまちづくりを進めていく必要があります。 私たち自民党では、三百項目を超える予算要望を提出しました。限られた財源の中で、不要不急の事項については徹底的に見直しを行い、必要な分野を充実させ、区民サービスのさらなる向上を図っていく必要があります。西川区長にとっても、長年取り組んできた児童相談所を住民に最も身近な自治体で整備・運営するという考えがこの新年度にいよいよ実現することとなりました。 こうした視点を踏まえ、荒川区の令和二年度予算の基本的な考え方についてまずお伺いいたします。 次に、業務改善とサービスの向上についてお伺いします。 私は、平成二十九年度二月会議でAI(人工知能)やIoT、ロボットなどによる第四次産業革命が始まっている、荒川区でも限られた財源や人材を最大限活用するために、AIやロボットの技術を積極的に活用していくべきだという質問をいたしました。あれから三年が経過しましたが、こうした流れはますます進展し、特にAIやロボティック技術は健康、医療、介護、農業、防災、交通、物流、物づくり、金融など様々な分野に活用されるようになりました。行政分野においても、問い合わせの自動応答、自動翻訳、保育所利用調整、国保のレセプト点検、内部事務の自動化等でAIを活用している自治体が出てきております。荒川区においても、今年度からAIを保育園利用調整で導入し、例年二月中旬に発送していた保育園承諾・不承諾通知を今年は一月末には発送できるなど、区民サービスの向上につながる取組を行っております。 今後、このような取組を拡大し、他分野においても積極的にAIを活用して業務の効率化につなげ、そのことで生み出された職員の力を区民サービスの向上につなげていく、こうした取組をぜひ推進していただきたいと思いますが、区の見解をお伺いいたします。 昨年の九月、十月に台風十五号、十九号が立て続けに襲来し、東日本を中心に甚大な被害をもたらしました。荒川区でも十月十一日に水害では初めて災害対策本部を設置し、これも台風では初めて自主避難場所を開設いたしました。幸い、荒川区ではほとんど被害がありませんでしたが、台風十五号では千葉県を中心に、また、台風十九号では十四都県、三百九十市区町村に災害救助法の適用がなされました。 先日、元気象庁の長官の方から話を聞く機会がありました。近年、地球温暖化の進行が顕在化しつつあり、気温の上昇がここ数年の線状降水帯や台風に伴う豪雨災害を頻発させている。こうした豪雨は今後も長期的には増加すると考える必要があり、気象災害は我が国のみならず、世界的な脅威となってきている。つまり、今後、気象災害がこれまで以上に多発することになると考え、それへの対策を講じることが喫緊の課題であると言っておりました。議会でも、特別委員会で国土交通省の荒川下流河川事務所に行って、台風十九号の出水状況や治水対策について調査をいたしました。ここで聞いた報告で、このたびの台風十九号の降水量が非常に多かった、また、それによって荒川の水位も記録的だったことを改めて認識をしました。二十四時間の降水量で荒川上流の埼玉県三峰で約五百六十一ミリ、秩父で約五百十九ミリ、浦山で約六百四十七ミリなどで、統計開始以来の極値を更新したそうであります。荒川の最高水位も十三日の九時五十分に基本水準面を七・一七メートル上回り、昭和二十二年のカスリーン台風、昭和三十三年の狩野川台風に次ぐ戦後第三番目の水位を記録いたしました。岩淵水門が閉じていたため、隅田川の水位とは五・五五メートル水位差がありましたが、最高時の水位は隅田川の堤防を二十七センチ超えていたそうであります。 荒川区のハザードマップは、荒川流域において想定し得る最大規模の降水(流域の七十二時間総雨量六百三十二ミリ)を超えることにより、荒川の堤防が複数箇所決壊した場合に想定される浸水被害と規定されています。先ほど示した荒川上流の二十四時間雨量などから想定しますと、このたびの台風十九号の豪雨で荒川が越水、決壊していた可能性は否定できません。 そこで、水害に対応するには、まずハードの整備が欠かせません。荒川の上流、埼玉県にある荒川第一調節池は、最大三千九百万立方メートルの洪水調整容量があり、今回の台風で平成十六年の完成以降では二度目となる荒川の水を流入させました。このことで荒川の水位の抑制には大変効果を発揮したそうであります。そのほかにも、都心部では、平成の間に進められた大規模な治水機能が活躍し、都心部の被害をかなり抑えることができたそうです。 荒川下流河川事務所では、現在、JR東北本線荒川橋梁地盤改良、また、京成本線荒川橋梁架替えをはじめ、首都圏を水害から守る様々な治水対策事業を行っています。また、国では、荒川上流の埼玉県内に治水容量最大五千百万立米の第二、第三調節池を平成三十年度から建設を始めています。しかしながら、これらの事業には大変事業費と時間がかかります。荒川下流部や隅田川に沿った地域は人口密度が高く、また、都市機能も集積しています。荒川の堤防が決壊、氾濫すれば、壊滅的な被害が発生するとともに、首都機能も麻痺してしまうことが危惧されております。もちろん国でこうした被害については重く受け止め、今年度の補正予算でも多くの予算を計上しております。こうした水害の被害を大きく受けそうな関連区の区長さんも、国などへの働きかけを度々行っていることも新聞記事などで目にして承知をしております。そこで、改めて西川区長さんの水害に対するお考えをお伺いいたします。 台風十九号では、前もって広域避難を呼びかけましたが、結果として広域避難が難しいことが明らかになりました。各区で自主避難場所が開設され、荒川区では合計五十六か所、千四百六十一名が避難、二十三区で避難者数が多い順に江戸川区、約三万五千人、足立区、約三万三千人、葛飾区、約一万九千八百人と、今回の台風十九号では避難者の多さに驚きました。 区では、荒川区風水害方針を早速作成していただいたことは高く評価をいたします。この中に五十二か所の自主避難場所を開設すると記載されていますが、果たしてそれで足りるでしょうか。 台風十九号では、幾つかの避難場所に百人をはるかに超す区民の方が押し寄せ、大変混乱をいたしました。いざ災害時に避難者が避難所に押し寄せ、入り切れなくなれば、大変な混乱を引き起こすことは明らかです。しかし、区内の九割が浸水する状況では、限りある公共施設に避難するのには限界があります。 そこで、三階以上に居住する人は自宅にとどまり、その場合に備えて、日頃から一、二週間分の備蓄をしていくよう今からしっかり啓発を行うべきと思います。また、区としても、自宅にとどまれる人の数をできるだけ掌握していくことも必要だと考えます。 水害対策は、特に個々の区民の置かれた状況によってまちまちです。例えばハザードマップの浸水の高さや住まいの形状等々、そこで基本的には自分で自分を守る自助が基本だと考えます。区はいざとなったら区民が自助を行えるよう日頃から啓発を行っておくべきです。その上で自宅にとどまることが難しい人、寝たきりの人などの災害弱者の避難は、共助、公助で対応しなければならないでしょう。その手段として、いざというときに慌てることなく、個々の人が適切な避難行動を取るためには、マイ・タイムラインを作成しておくことが有効だと思います。 足立区の中川沿いの住民で作る自治会連絡協議会では、氾濫に備えて独自のコミュニティ・タイムラインを策定し、台風の接近情報や中川の水位などに応じて危険箇所の点検、ハンドマイクでの避難の呼びかけなどが定められ、台風十九号の際も住民はこのタイムラインに沿って適切な行動をしたそうであります。 東京都のマイ・タイムラインは現状どのように活用されていますか。また、それぞれの区で想定される災害の被害状況は異なります。そこで、荒川版マイ・タイムラインを個々の区民に作成、活用してもらうことはいかがでしょうか。併せてお伺いいたします。 また、民間のマンションは取りあえず一時的に逃げ込むのは良いのですが、一、二週間水が引かない状況を考えると、さらなる避難の仕方を考えておくべきと考えます。水害時の避難について、区のお考えをお伺いいたします。 次に、情報の伝達・収集についてお聞きします。 台風十五号、十九号について東京都で行った検証で「あなたが避難行動を開始する際に参考にする情報はどこから入手しますか」という問いに、圧倒的に多数の人がテレビからと答えています。次いで多かった順に気象庁ホームページ、区市町村の防災メール、区市町村のホームページなどが挙げられていますが、その他にも情報の発信源が多数にわたっていて、どの情報を見たら良いか絞り切れなかったという答えが大変多かったわけであります。 荒川区では、警戒レベル三で避難準備、レベル四で避難勧告、レベル五で災害発生情報という基準に沿って発令をいたします。しかし、警戒レベルに達しない状況では、区では原則情報は流さないと思います。 川による水害は、川の上流から順に水位が上がってきます。またもっと以前に気象庁の降水の予測は、かなり高い精度で予測可能になっています。そこで、こうした様々な情報を区民が知ることで、いざというときの自分の行動をする準備と心構えができると思います。こうした情報を自分でネットなどで収集できる人とできない人の情報格差も生じております。そこで、区では、できるだけ多くの正確な情報を収集して、それを速やかに区民に知らせる、そうした伝達の方法を構築していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 次に、災害廃棄物の対策について伺います。 昨年の台風では、被害の状況がリアルタイムでネットやテレビで報道され、甚大な量の災害廃棄物を私たちも目の当たりにいたしました。昨年被災した自治体に派遣された職員の方々の報告書を読みましたが、災害廃棄物の処理のお手伝いに大変苦労されたことがよく分かりました。こうした貴重な経験によって、荒川区の被災後の対応に大変役に立つ提言をいただけたと思います。 区は、昨年十二月に災害廃棄物処理方針を策定し、災害時の廃棄物の対策が目に見えて前進したことを評価いたします。しかし、一方で、災害廃棄物に対する課題もより鮮明になったと思います。 顕著な例は、災害廃棄物の一時仮置き場です。方針では、大量の災害廃棄物について、処理期間の目標を三年とし、地域防災計画にも示されている仮置き場候補地として、区内の比較的大きな公園が選定されています。しかしながら、荒川区は住宅が密集していて、公園や児童遊園のオープンスペースも少なく、想定している仮置き場候補地だけでは圧倒的に足りず、瞬く間にごみの山になってしまうことは目に見えております。 そこで、区内の国や都有地をはじめ、災害時相互応援協定を結んでいる自治体とも協議し、区外の仮置き場も視野に入れた具体的な方策を考えるべきです。また、災害廃棄物を三年もの間置いておくことは不可能であります。適宜、隅田川などを利用して区外に搬出することを考えなくては、区内の空き地は全てごみで埋まってしまうでしょう。区の御見解をお伺いいたします。 次に、西日暮里駅前で検討が進められている再開発についてお聞きします。 西日暮里駅では、現在、JRや地下鉄千代田線、日暮里・舎人ライナーなどの乗換駅となっていて、乗降客も区内最大であり、この地域が持つポテンシャルは大きなものだと思います。 この西日暮里駅の成り立ちは、昭和四十四年に千代田の駅が開業。この後、昭和四十六年に千代田線との乗換駅として、当時の国鉄が西日暮里駅を開業いたしました。千代田線計画段階では、国鉄日暮里駅の直下に地下鉄の駅を造る案や現在のところに駅を設置して、国鉄日暮里駅と地下通路で結ぶ案などがあったそうでありますが、工事費や連絡通路が長くなってしまうという理由で採用されず、国鉄が新駅西日暮里駅を設置し、これに連絡することが決まったそうであります。 このように、地下鉄と国鉄をつなぐためだけに出来た駅なので、タクシーやバスの乗り場なども含めて、地上の都市基盤の整備はほとんど行われてきませんでした。 国鉄駅開業から三十七年後の平成二十年に日暮里・舎人ライナーが開業しました。そして、この日暮里・舎人ライナー開業の影響もあって、近年、西日暮里駅周辺では、利用者の安全性や利便性が確保されているとは言えない状況にあります。 現在、準備組合が検討を進めている西日暮里駅前地区では、再開発に合わせて駅前広場の整備など、駅前に不足している都市基盤の整備も併せて行う予定であると聞いて、私たちも期待しているところであり、駅周辺の安全なまちづくりを行うには、今回の再開発の機会を逃せば、今後二度とチャンスはないと考えられます。 事業の規模については、いろいろな意見があると聞いていますが、民間の再開発であり、採算性を図ることも重要であると思います。西日暮里駅周辺の課題解決を図り、将来世代への責任を果たしていくことが必要であると考えます。 一方で、現在地域内に土地や建物をお持ちの方々から様々な意見が我々議会に対しても寄せられていて、賛成の声がある一方で、一部反対の方々から陳情も提出されている状況であります。 私は、昨年七月の建設環境委員会や決算に関する特別委員会の中で、都市計画の段取りを整えることだけに固執しないで、現在反対している人たちに丁寧な説明をして理解を求めるなど地道な努力を怠らず、再開発を進めていくことを要望いたしました。 そこで、現在の日暮里駅前地区再開発の状況と今後の進め方について、区はどのように考えているか、まずお伺いいたします。 六本木ヒルズは、東京都が都市計画決定を告示した年に阪神・淡路大震災が起きたこともあって、「逃げ出すまちから逃げ込めるまちへ」をコンセプトに、災害対策に大変力を入れた再開発を目指しました。西日暮里駅前再開発においても、建物自体の安全性を高めることはもちろんですが、六本木ヒルズのように「逃げ込めるまち」をコンセプトの一つにはできないでしょうか。 先ほどの水害対策で指摘させていただいたように、荒川が決壊したとき、荒川区の九割が浸水する状況で、避難場所が足りないのは目に見えております。幸い、この再開発の地域は、日暮里の台地を除いた荒川区域の中では比較的標高が高い地域であります。ホールは七階以上に設置される設計になっていますので、特に水害時の区民の避難場所としては最適だと考えます。さらにJRの駅にも近接し、日暮里の高台もすぐ近くにあるので、一時避難の後、広域に避難をするにも適しています。 現在進んでいる再開発の計画では、地震に対する対策は既に十分考慮されているようですが、水害時の対策についてもぜひ考慮していただきたいと思いますが、御見解を伺います。 次に、ホールについてお聞きします。 区は、これまで再開発事業に伴う公共施設として、サンパール荒川の代替とするのみでなく、区外からの利用も想定した集客力のある質の高いホールの整備を目指し、検討を進めてきたことは承知しています。既に終了した日暮里地区の再開発については、その成果について議会でもいろいろ意見が出ております。その二の舞にならないよう、ホールが施設の核となり、商業施設と連携していくことで、人々が集い、地域のにぎわいにも寄与することを期待しております。 しかしながら、ホールは一般的な建物とは違い、要求する性能が経費に大きく影響するため、詳細な内容が決まっていない現段階における概算の経費ではありますが、百九十億円と示されており、これは今後、経費の圧縮を図るべきと考えます。 経費の縮減方法としては、ホールに付随する施設の精査などにより規模の見直しを行うことも考えられます。また、他の方法として、区民利用に配慮することが前提とはなりますが、民間の取得についてはいかがでしょうか。経費の削減のみならず、別の形での集客も期待できると思います。 ホールについては、今後いろいろな可能性を追求していくべきと思いますが、区の御見解をお伺いします。 皆さんは、このバッジを御存じだと思います。区長さんは前から付けておられますし、理事者の方も付けておられます。最近、このバッジを付ける方が多くなってきたと思います。これはSDGsのバッジであります。このSDGsを一言で言うと、二〇一五年九月の国連サミットで採択された「誰一人取り残さない、持続可能で多様性のある開発目標」であります。日本政府でも、総理を本部長に全閣僚を構成員とするSDGs推進本部を設置し、国を挙げて取り組んでおります。 しかし、朝日新聞社の昨年八月の調査によっても、SDGsを聞いたことがあると答えた人は二七パーセントと、まだまだこの運動の広がりが感じられないのも事実であります。 二十世紀の大量生産、大量消費、大量廃棄の社会システムの中で、物があふれ、便利さ優先の生活を享受してきました。そして、今日、天然資源の枯渇や環境破壊、廃棄物処分場の不足など様々な問題が浮上してきました。 我が国でもごみの排出や資源の消費を抑制し、環境への負荷を減らす社会、いわゆる環境型社会への取組が広がってきています。SDGsの中の十二番目の国際目標「つくる責任・つかう責任」の五番目に、二〇三〇年度までに廃棄物の発生防止、削減、再利用及び再利用により廃棄物の発生を大幅に削減するという目標が掲げられています。 荒川区は、歴史的にも資源の再生事業が盛んであり、区民生活にも物を大切に使う習慣が根づいていることから、環境型社会の実現に向けた基盤が整っていると言えるのではないでしょうか。 荒川区は、自治体の中ではいち早く区内全域での集団回収を実施し、資源の分別回収は、もはや区民の日常生活の中に根づいています。しかしながら、最近になって、米中の貿易摩擦や中国の環境規制の強化による輸入規制によって、特に古紙については、二〇二〇年末までに中国では輸入をゼロにする方針を明らかにしています。日本国内でも様々な分野で電子化が進み、紙と板紙の国内需要も減少しています。 こうした社会状況の影響を受けて、古紙の価格が著しく下落しています。この問題は複数の新聞でも取り上げられ、横浜市や川崎市など幾つかの自治体では、回収業者が集団回収から撤退する事態が起きています。 東京都資源回収事業協同組合は、集団回収の危機を訴える「非常事態宣言」を発表するに至って、荒川区のリサイクルの中核を担う古紙回収にも大きな影響が出ております。このような厳しい状況下においても、関係団体はリサイクルのシステムの維持に気概を持って取り組んでくれていますが、それも限界に近づいていて、早急な対応が必要となっています。 また、廃プラスチックの問題は、国内だけでなく、世界的にも大きな問題になっております。区は、かねてからリサイクルを推進し、システム維持のための方策も取ってきたことは十分認識していますが、現在の状況は、資源の循環システムそのものの仕組みが揺るぎかねない事態になっていると言えます。 以上のことを踏まえ、まずは国レベルでの対策、すなわち諸外国との交渉や区内の再生事業者への支援が不可欠であり、同時に区民、事業者と連携した処理、排出の抑制も重要と考えますが、区のお考えをお聞きします。 次に、防災まちづくりについて質問いたします。 区は、荒川二・四・七丁目地区と町屋・尾久地区において不燃化特区事業を実施してきております。この地域は私の地元なので、地域を回っていて、主要生活道路の拡幅や老朽木造建築物の建て替えや除却などが地区内のあちこちで進んでいるのを見ています。こうした取組で防災性が高まっていることを実感しています。 さらに今年度から旭電化通りの拡幅事業もいよいよ用地買収が始まり、まさにこれからという時期でありますが、一方で不燃化特区の事業期間は来年度末が終了とされてきました。 道路の拡幅は、建物の補償交渉がまとまった上で用地を取得し、インフラ整備の最後に行われるため、長い年月がかかり、このままの進捗状況では、燃えない、燃え広がらないまちとなる指標の値が目標に到達しない状況であろうと感じております。少なくとも主要生活道路については、幅の広い道路から一定の距離のところまでを六メートルに拡張できていないと消防自動車が入れないし、旭電化通りも、本来は尾竹橋通りから尾久橋通りまで十五メートル幅でつながっている必要があるのではないかと思います。 以前から私は、こうした拡幅が途中で終わってしまわないよう心配し、これまでも自民党として特区の期間延長を要望してきました。昨年の十一月会議においても、地元の並木議員が質問しました。これに対し、防災都市づくり部長より、東京都から防災都市づくり推進計画の改定において検討するとの前向きな回答を得たとの答弁をいただきました。 この点について、今般、東京都が期間を延長する旨の報道がなされました。西川区長から東京都知事への直接の要請活動をはじめ、この間の延長に向けた区の努力を高く評価したいと思います。 用地交渉に時間がかかるのは十分理解します。しかし、特区の期間が延長されたからといって、安心することなく、これまでにも増してスピード感を持って取り組むべきと考えますが、区の御見解をお伺いします。 また、木造住宅密集地域においては、延焼防止のため、空地、オープンスペースの確保が有効であります。防災スポットとして既に一定程度確保はされているものの、東京都の特区の計画期間の延長を受け、さらに積極的に取り組むべきと思います。併せて区の御見解をお伺いいたします。 この際、宅地開発の在り方についても触れておきたいと思います。 最近、百平米程度の敷地で建物を除却した後、土地を細分化して区画し、二、三棟の戸建て分譲住宅として売り出されているのをよく見かけます。一宅地が五十平米にも満たないことから販売価格が抑えられ、売れ行きは好調らしいです。 一方で、区では、住環境条例の対象となる六棟以上の宅地開発や地区のまちづくり協議会が主体となって定めた地区計画における建築敷地の面積制限では、一つの宅地を六十平米以上とするよう規制しています。地区計画が定まっていない区域での小規模な宅地開発は、こうした規制の対象外ではありますが、このような建物の乱立は、区の目指している良好な居住環境整備の方向性を阻害してしまうのではないかと危惧いたします。建物同士の間隔が狭く、今後時間が経過していくと、いずれまた老朽木造密集地域になってしまうのではないかという懸念を持ちます。 これまでの対応から一歩踏み込んで、建築敷地面積の最低限の広さ制限を全区的に定めるべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。 以上で一回目の質問を終了いたします。ありがとうございます。(拍手)   〔区長西川太一郎君登壇〕 ◎区長(西川太一郎君) 志村博司議員の御質問に答弁をさせていただきます。 初めに、令和二年度予算の編成に関する御質問にお答え申し上げます。 本予算案の編成に当たりまして、不肖は、これまでの積み重ねでございますとか、昨今の社会経済情勢の変化などを十分に踏まえて、区民の皆様の幸福を実感をより一層高めてまいることを大きな目標として、この令和二年度予算案を「区民の安心と元気を育む幸福実感予算」として編成をさせていただきました。 一般会計予算案では、長年構想を温めておりました区立児童相談所の設置等によりまして、予算規模は過去最大となる一千七十億円となりました。子育て環境の整備でございますとか福祉施策の充実、前進、また、防災対策の強化など、区民の皆様が安全で安心のまちでお暮らしいただけるように、さらなるこうした概念の向上に努めるものである、そして、地域の経済、文化の活性化に資する施策を着実に推進できる区が取り組むべき施策を最大限具体化したものであると存じております。 また、御党からの御要望等につきましても、ふれあい館の二館同時の整備着手または日暮里地域活性化施設の開設によります創業の御支援ができる創業支援の充実、そして、御高齢者の就業の拡充に向けたシニア就労サポート事業と名づけて、これを積極的に頑張っていくと。また、小さいお子さんのための私立幼稚園の先生も含めて、人材の確保に対する御支援の充実、また、基礎学力の向上に向けた取組、これらを推進してまいりたいと存じます。可能な限り予算にこれらを反映するように努めたものであると考えております。 区といたしましては、引き続き、これまでの官庁会計に複式簿記・発生主義という会計学の概念がございますが、これを視点に加えて、新たな公会計制度に基づいた財務諸表の活用や、また、サンセット方式と言われるものを含めて事務事業の見直しを行い、さらには本年四月の保育園の入園に係る審査時間というものをできる限り大幅に短縮したいということ、これらを一つ大きな成果として区議会議員の皆様にも御評価いただけるように、しっかりやっていきたいというふうに思います。そのためには、例えば最後に申し上げました、大きな成果を上げるためには、AI等の活用などに、また、健全な行財政運営の維持にも努めていくことが大事だというふうに思います。区民サービスのさらなる向上は至上命題、基礎自治体にとっては大変重要な命題でございますから、これに全力で議会の御協力をいただきながら取り組んでまいりたいと存じます。 大規模な水害への対策に関するお尋ねもお答えをさせていただきたいと思います。 昨年、日本列島を直撃いたしました台風十五号、十九号は、各地に甚大な被害をもたらしたものでありまして、年々大規模な水害の脅威が増していく中、私は区民の皆様のお命をしっかり守り、災害で一人の犠牲者も出さないために、全力で対策を講じていく決意でございます。 豪雨によります河川の氾濫を防ぐために何よりまず行うべきことは、ハード整備が重要になります。現在、国土交通省がJR東北本線の荒川橋梁部の堤防のかさ上げ工事を実施しております。こうしたことは、ここで簡単に自分の体験を申し上げますが、私は幼稚園児から小学校、中学校まで、荒川区で学校に通うのに、おへそまで水に浸かって歩かなければならない、そういう中で成長した最後の世代であります。こうしたことは、今、この議場においでになる区議会議員の皆様はきっと御体験あそばされたお思いはないのではないかというふうに愚考いたしますが、こういう地域であればこそ、私どもは真剣に、馬鹿にしないで水害対策というものをしっかり取り組んでいかなければいけないというふうに思います。 荒川橋梁部の堤防のかさ上げの工事を実施していかなければいけない、このことについては、東京都に対しても、国の主要官庁に対しても、頻繁にお願いを申し上げておるところでございます。また、区民の皆様の安全・安心の確保、これは区政にとっても、議場においての党派を超えた議員全員の皆様にとりましても、至上命題であると拝察させていただきます。 昨年の台風の教訓などを踏まえて、区では「荒川区風水害対策方針」を策定させていただき、大規模な水害等にしっかり取り組んでいく、また、情報を正しく区民に発信させていただく、こういうことや避難場所を適宜適切に必要な場所に開設し、運営も民主的かつ合理的に行っていく。こういうようなことを全て所管する災害対策本部の体制を強化していき、区民の皆様が自らのお命や自らの財産を自助努力でお守りいただくことに精いっぱい寄り添いながら、これを御支援させていただく、このような方針をお示し申し上げたつもりであります。 さらに、新年度には、避難勧告等の情報を各種媒体へ一斉配信できるシステムの導入を行います。また、水害時に備えて、本庁舎の非常用の発電機の充実、災害時における対応能力、判断能力、これをしっかり育成していく、職員の研修が必要でございますから、このことも議会の御理解をいただきながら予算を計上して、対応を強力にしていきたいというふうに思います。 今後とも、区が議会の皆様の御指導をいただきながら、一丸となって大規模水害対策に全力で取り組み、誰もが安心して生活できる荒川区を実現してまいりたいと思います。 以上、御答弁とさせていただきますが、私が尾久隣保館の幼稚園児であった頃、第七峡田小学校の小学生であった頃、何回おへそまで水に浸かって幼稚園や学校に通わなければならなかったか。汚物がプカプカ浮いている中を行かなきゃならなかった。長じて高等学校に入りましたときも、田端では何でもなかったけれど、赤土小学校まででバスが止まって立ち往生してしまった中を、熊野前を通って、今の町屋六丁目の自宅まで帰った経験は度々でありました。 したがいまして、私は、どこの区長の方々よりも水害対策については、幼児体験も踏まえて、こうしたことがないように、清潔で安全な荒川区を作っていくために、今日ここに御出席の議員各位の党派を超えた御支援をいただきながら頑張っていかなければいけないと存じております。 これ以外のお尋ねにつきましては、関係の理事者から答弁をさせていただきます。 本日はいろいろお尋ねをいただきましたが、御期待していただいていると信じておりますが、一生懸命、頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。   〔健康部長石原浩君登壇〕 ◎健康部長(石原浩君) 新型コロナウイルスに関する区の取組についての御質問にお答えいたします。 区におきましては、一月二十九日に新型コロナウイルス対策連絡会を開催し、各部の情報共有を図るとともに、一月三十一日には新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、全庁挙げて感染予防の周知と徹底を図ることを決定いたしました。 具体的な対策としましては、ホームページや区報等の広報媒体、窓口での掲示、イベント時の周知等を通じて、手洗いやマスクの着用、せきエチケットを励行するとともに、区内の小中学校、宿泊施設、高齢者施設等の関係機関へ通知し、衛生管理及び健康管理の周知徹底を図っております。また、専門の電話相談窓口を設置し、区民の皆様からの相談にも対応しております。さらに、区内の中小企業を対象とした特別融資を開始したところでございます。 区といたしましては、区民の不安を少しでも解消し、安心・安全な暮らしを守るため、感染予防に向けて全力で取り組んでまいります。   〔総務企画部長五味智子君登壇〕 ◎総務企画部長(五味智子君) AI等の活用に関する御質問にお答えいたします。 区といたしましては、成功事例を着実に積み上げながら、他の業務へも拡大していきたいと考えております。既に先進自治体の取組等のヒアリングを行い、具体的な検討を進めております。 来年度は、まず内部事務において、いわゆるRPAの導入を行い、職員にその効果を実感させるとともに、実践的な研修を行ってまいります。 今後も、業務改善と区民サービスの向上に向け、AI等の導入を積極的に進めてまいります。   〔区民生活部長阿部忠資君登壇〕 ◎区民生活部長(阿部忠資君) まず初めに、水害時の避難についてお答えいたします。 荒川が氾濫した際には区内の約九割が浸水することから、区が開設する五十二か所の避難場所に全ての区民が避難した場合に受け入れることができず、配慮が必要な方などの避難が困難となります。そのため、堅牢な建物の三階以上に居住する区民に対して、可能な限り自宅にとどまるよう呼びかけ、配慮が必要な方などは避難場所で受け入れる方針でございます。 これらの避難行動につきましては、議員御指摘のとおり、日頃から区民へ啓発を行うことが重要であると認識しております。区といたしましては、今後、三階以上に居住する区民に対する自宅での待機や備蓄等につきまして、様々な機会を捉えて啓発するとともに、配慮が必要な方などを避難場所で受け入れることができるよう体制の構築に努めてまいります。 また、今後、東京マイタイムラインの活用を通じて、区民の水害に対する意識の向上に努めるとともに、御紹介いただいた例を参考にしながら、区民が的確な避難行動を取ることができるよう、さらなる啓発に取り組んでまいります。 次に、情報の伝達・収集方法についてお答えいたします。 大規模水害が発生する可能性がある場合、区では防災行政無線やテレビのデータ放送など様々な手段を活用して情報を発信することとしております。区民が有事に備えた行動を取るためには、議員御指摘のとおり、気象庁による降雨予測等、多様な情報を収集できることが重要でございます。 区といたしましては、区民が的確な情報を収集し、適切な避難行動を取ることができるよう、新年度には情報を各種媒体に一斉配信できるシステムや防災ラジオの導入を進めるとともに、あらゆる機会を捉えて情報を収集する手段の周知・啓発に努めてまいります。 また、気象情報等を正確かつより多くの情報を収集し、速やかに区民へ周知できるよう、様々な情報伝達手段を活用するとともに、町会・自治会を通じた伝達を行うなど、情報伝達体制の構築に取り組んでまいります。   〔環境清掃部長池田洋子君登壇〕 ◎環境清掃部長(池田洋子君) 初めに、災害廃棄物の一時仮置き場に関する御質問にお答えいたします。 一時仮置き場の候補地は、比較的広い区立公園等を基本としていますが、国、都有地などもあらかじめ想定し、事前に管理者等とも十分に協議しておくとともに、相互応援協定を締結している自治体とも協議し、土地の確保に努めたいと考えております。 また、一時仮置き場は衛生面での対策が重要となること、さらに処理やリサイクルなど次の段階へのスムーズな移行の前提となる分別と選別が不可欠であり、搬入・輸送ルートも考慮し、様々な角度から一時仮置き場を確保するとともに、分別・選別の徹底については、平時より丁寧な広報に努め、災害廃棄物の円滑な処理体制の構築を進めてまいります。 次に、リサイクルシステムの維持に関する御質問にお答えいたします。 循環型社会の構築は、持続可能な社会を次世代に確実に引き継ぐ上で大変重要であると認識しており、これまでも集団回収やリサイクルセンターの設置など、荒川区ならではの取組を進めてまいりました。 しかしながら、御指摘のとおり、現在、とりわけダンボールについては市場が暴落し、回収事業者の廃業や収集を見合わせる自治体が出るなど、循環システムそのものが危機に瀕しております。 区では、この間、二十三区の部課長会において問題提起を行うとともに、経済産業省や環境省に出向き、リサイクルシステムの危機を訴えたほか、東京都に対してもシステム維持の支援策を要望したところです。 また、国際的な問題となっている廃プラスチックについては、まずは使い捨てのプラスチックの排出抑制、リデュースの徹底を促す取組を進めてまいります。 今後も関係団体の意見を十分に伺いながら、区民、事業者、行政が一体となった質の高い循環型社会の構築を目指してまいります。   〔再開発担当部長松崎保昌君登壇〕 ◎再開発担当部長(松崎保昌君) 西日暮里駅前地区再開発に関する御質問にお答えいたします。 西日暮里駅は、鉄道三路線の結節点であり、区内最大の利用者を有しております。しかしながら、都市基盤が十分に整備されていないことから、課題を抱えた状況にあります。また、さらなるにぎわいが求められており、再開発事業の実施について、準備組合と協議を行ってまいりました。 こうした中、平成三十一年三月には、準備組合より区に対し、都市計画に関する手続の開始が依頼され、区では説明会等の手続を進めてまいりました。その過程で反対意見や手続の問題点が提起されたため、現在、準備組合において、地権者に対し丁寧な説明と事業推進に関する意向の再確認を行っております。そのため、都市計画決定には想定よりも時間を要するものと認識しており、現在、スケジュールを見直しているところでございます。 次に、再開発における防災対策についてお答えいたします。 現在、準備組合では、防災対策につきまして、帰宅困難者の受入れ、備蓄倉庫や防火水槽の設置などを計画しております。議員御指摘の水害時におけるホールへの周辺住民の避難につきましても併せて協議をしてまいります。 また、災害時の自立性という点から、住宅部分の備蓄倉庫の各階への設置や自家発電燃料の備蓄といった対策が検討されております。 今後も再開発エリアや周辺地域の防災性の向上が図れるよう、準備組合と協議を進めてまいります。 次に、新ホールの整備費に関する御質問にお答えいたします。 新ホールにつきましては、約千五百席の大ホールと三百から四百席の小ホールから成る施設を検討しております。この整備に係る費用につきましては、その圧縮は不可欠であると認識しており、御質問の趣旨を踏まえ、民間活力の導入など、あらゆる選択肢を排することなく、引き続き区の経費縮減策を検討してまいります。 西日暮里駅周辺地域の都市基盤の整備、にぎわい創出及び防災性の向上に向け、再開発を成立させるべく、引き続き準備組合と連携し、早期の事業化に向けて取り組んでまいります。   〔防災都市づくり部長松土民雄君登壇〕 ◎防災都市づくり部長(松土民雄君) 不燃化特区制度に関する御質問にお答えいたします。 不燃化特区制度につきましては、区長による都知事への要望などが実を結び、今般、特区制度の五か年の延長が盛り込まれた防災都市づくり推進計画の改定案が示されました。今後につきましても、区として必要な要望をしっかり行ってまいります。 事業を進めております主要生活道路や都市計画道路につきましては、不燃化特区制度の延伸に関わらず、国や都の補助制度を活用しながら、継続的に事業を進めてまいります。 また、オープンスペースにつきましては、防災機能をより高めることができることから、今後も積極的に用地の確保に努めてまいります。 区といたしましては、不燃化特区制度の延伸を契機といたしまして、あらゆる角度から、災害に強い安全なまちづくりに一層力を入れて取り組んでまいります。 次に、敷地面積の最低限度に関する御質問にお答えいたします。 区といたしましては、新たな木造住宅密集地域の発生を防ぐため、区全域に敷地の細分化防止策を導入することが不可欠であると議員と同様に考えており、今後は、敷地面積の最低限度の設定に向け、東京都と協議を図りつつ、さらなる検討を進めてまいります。 ○議長(茂木弘君) 八番小林行男議員。   〔小林行男君登壇〕 ◆八番(小林行男君) 私は、日本共産党荒川区議団を代表して質問をいたします。 質問に先立ち、新型コロナウイルス肺炎の感染対策について、区として感染拡大防止への万全の対策とともに、正確な情報発信や相談体制の一層の充実を求めておきます。 それでは、質問に入ります。 昨年十月の消費税増税の影響は、前回の八パーセント増税に比べても極めて深刻な事態で、新たな消費不況を招きつつあります。家計の消費支出は、昨年十月、十一月と二か月連続で前年同月比に比べマイナス、内閣府の景気動向指数は、直近の十一月まで四か月連続の悪化です。十一月の商業販売額は、前年同月比六・五パーセント減の大幅な落ち込み、昨年のスーパー売上は四年連続のマイナスとなりました。 荒川区でも、売上は八パーセントだが、仕入には八パーセントと一〇パーセントが混在し、利益が減っている、とても大変だ、客足が遠のいているという和菓子屋さん、冷蔵庫が壊れたのでこれでおしまいにしますと店じまいをする肉屋さんなど、影響が拡大をしています。 また、二人以上の実質家計消費支出は、前回八パーセント増税直前の二〇一三年度で平均年額三百六十三万六千円でしたが、しかし、一〇パーセント増税後、昨年十月、十一月に年額三百三十二万二千円で、三十一万四千円、およそ一か月分の収入が増税で消えてしまっています。 さらに追い打ちをかけるように、後期高齢医療や国民健康保険料の値上げが計画され、年金もマクロ経済スライドによって〇・三パーセントの削減、安倍政権の七年間で六・四パーセントも減っているのです。今、まさにこの瞬間にも、増税が暮らしと地域経済を直撃しているのではないでしょうか。 そこで、第一に、消費税大増税が区民の暮らしと地域経済に深刻な影響を与えている現実をどう認識しているのか、区の見解を求めます。 増税については、社会保障のためとして理解を示し、国のプレミアム付き商品券、ポイント還元、自動車・住宅購入減税とともに、区もプレミアム付き区内共通お買い物券を発行し、個人消費を下支え、影響がないようにするので大丈夫だといった趣旨が繰り返し行われてきました。しかし、実態はさきに述べたとおりであります。 さらに、莫大な税金を投入した国や区の対策の効果はどうだったでしょうか。経済産業省の調査でも、ポイント還元参加店の六割が効果がなかったと回答。売上が下がり、キャッシュレス比率が増え、現金が数か月後に入るので資金繰りが苦しくなり、手数料負担も増える、多くの業者にとっては矛盾でありました。低所得者向けのプレミアム商品券も、最大二万円の出費が、低所得者の皆さんにとっては購入費の工面が難しい、手続が面倒など不評で、結局、全国で購入申込みは三割、荒川区でも二割台になっています。かかったのは莫大な事務費であります。 我が党が毎年実施をしている第二十八回区民アンケートは、現在八百通近い回答があり、生活の深刻さがぎっしり書かれています。この中で、税金、社会保障のこれ以上の負担に耐えられないとの回答が八〇パーセントを超えているのです。 荒川区の新年度予算、一般会計予算は一千七十億円、昨年に続く過去最高の当初予算となっています。歳入を見ると、消費税増税による増収分が約十二億円で四十九億円に達しています。しかも、そのほとんどが社会保障財源分として交付をされているのです。 税収が増えた裏には、区民や事業者の深刻な実態があります。区民生活が困難に直面しているときだからこそ、最も身近な地方自治体として、こうした財源を最大限の暮らし応援に振り向け、予算化し、緊急対策も含め、実施すべきです。区民の暮らしの実態に寄り添い、住民福祉の増進という自治体本来の役割を発揮するため、暮らし応援の緊急対策が必要だと考えますが、区の見解を求めます。 次に、二〇二一年度から三年間の第八期計画策定の準備が始まる介護保険について伺います。 社会保障給付削減路線の下、負担増や給付の削減が繰り返され、介護離職、介護難民、独居老人、老老介護の解決は進まず、「家族介護から社会で支える介護へ」はスローガン倒れ、介護保険詐欺だとも言われています。介護保険だけで在宅生活を維持することができない状況が深刻化しています。 特別養護老人ホームは、二〇一三年のおたけの郷の設置以降、建設はされていません。現在でも四百名の方が入所を待っておられます。区外の入所施設にお世話になっている方は六百二十人にも上ります。 祭り太鼓の聞こえるまちで、最後までその人らしく暮らしていけるように、在宅も施設のサービスも、介護と福祉の両面から充実をさせる必要があります。 ところが、政府は、要支援の生活援助や通所介護の介護給付外しを要介護一、二まで広げようとしています。また、今でも利用料負担からサービスを控えている方がいるのに、二割負担、二倍にするということも検討しています。 認知症とその家族の会が毎年政府に要望書を出していますが、まだまだできることが多い初期の人が役割を持って生きていくことを支えるためには、認知症の人のできる能力、サポートが必要な行為を専門的に見極めることが大変重要です。 認知症において特に大切な要介護二までの介護給付外の事業に委ねることはできませんと訴えています。認知症対策にも逆行する軽度者の介護保険外しや介護サービス利用料負担増など断念するよう求めること、答弁をお願いします。 荒川区の介護保険料段階の割合を見ますと、本人非課税の方が六期のとき六一パーセント、七期の現在で五八・八パーセント。六十五歳以上の介護保険料の負担は、生活を圧迫している大きな要因となっています。保険料が年金天引きの対象にならない年金月一万五千円以下の方の保険料滞納が約三割もいらっしゃいます。 介護保険料は、サービスの利用が増えたり、介護職の労働条件の改善をすれば、直ちに保険料・利用料の負担増にはね返る根本的矛盾を抱えています。保険料は、制度開始のときの基本保険料は月二千九百六十三円でしたが、繰り返される値上げで、現在は五千九百八十円と、今でも高過ぎる保険料でありますが、このまま推移をすれば、荒川区の試算でも、二〇二四年には八千九百六十五円になる見通しであります。 そこで、第八期高齢者プランに当たっては、住み慣れた地域で住み続けられるために必要な介護サービス、施設整備を目標とすること、また、高過ぎる保険料引き下げに向けて国庫負担の拡大を求めるとともに、区として独自の一般財源を投じてでも介護保険料の抑制、値下げを決断すること、お答えください。 現在、介護職員の賃金は全産業より八万円も低く、福祉の仕事に魅力を感じながら、低賃金などを理由に働き続けられない深刻な事態が続いています。区内でも介護士不足のため、利用者を断らなければならない事業者もあるようであります。 政府は、消費税増税と引き換えに、特定処遇改善加算、勤続十年以上の介護福祉士に月八万円賃上げするとしていますが、介護士の平均勤続年数は六年で、多くの介護士には処遇改善にならないと言われています。 介護職員の賃金アップ、労働条件の改善のため、介護報酬とは別枠で国費の直接投入による賃金引上げの仕組みを創設することを求めると同時に、区として支援強化を検討すること。また、虐待、貧困、社会的孤立、老老介護など処遇困難の高齢者の支援は、本来、老人福祉法に基づく自治体の仕事であり、区の高齢者福祉課のケースワーカーなど福祉職をさらに増員し、支援を強化することを求めます。お答えください。 昨年二月会議で、高齢者の皆さんが地域でつながるコミュニティの場の必要性を問いました。区長は、御高齢者が相互に緩やかにつながることのできる場所づくりは非常に重要なことである、積極的に取組を進めるとお答えになりましたが、具体化は進んでいるのでしょうか。そこで改めて、高齢者の皆さんの緩やかな社会とのつながる場所の提供に支援することを求めます。答弁をお願いします。 次に、地域経済の主役、中小企業支援について伺います。 中小企業は、日本経済の主役であり、中小企業憲章では、社会の主役として地域社会と住民生活に貢献する存在であり、企業の九九・七パーセントを占め、働く人の三人に二人が働いています。地域の持続的発展にとっても、中小企業の役割はますます大きくなっています。 今、消費税増税によって売上が減少の上、消費税の増税分が転嫁できず、納税のために身銭を切ってやりくりせざるを得ない中小企業は死活問題に直結をしています。こういうときだからこそ、緊急対策もしっかり打つ必要があると思います。 荒川区の小規模事業者への補助制度も、コンサルとの相談などを省略して、必要なときにエアコンや冷蔵庫など、急遽買い換えが必要なときなど、時期を逸しないですぐに支援ができるように、使いやすく改善すべきです。 また、設備補助の現状を見ますと、区内事業者への発注は全体の一二パーセント、補助決定交付額も全体の八・五パーセントにすぎません。区内事業者への発注には補助の上乗せをするなど、メニューを増やすことなどを検討すべきです。 そこで、第一に、区内小規模事業者への補助制度を一層使いやすくするために拡充を行うことを求めます。 これまで中小企業、商店、個人事業者など、コミュニティを豊かにするため、町会や商店街、消防団、祭りなどを支え、人情味あふれる豊かな荒川区を作り、支えてきました。しかし、現状は、区の調査でも、商工業とも事業者は大幅に減退しているのが現実です。このまま物づくりや小売店舗がなくなる、寝るためだけに帰ってくるまちになっていいのでしょうか。それでは、荒川区の活力が失われかねません。 昨年行われた東京商工会議所荒川支部の創業環境の調査結果を拝見させていただきましたが、良好なコミュニティを維持していくためにも、新しく居住するようになった住民との共生を図ることなどの必要性です。そのための施策として、工場から発生する音、振動、臭気など環境対策への支援など、新年度予算に計上されていることは歓迎するものです。さらに中長期の産業を取り入れたまちづくりに向けた確固とした構想を確立することが必要ではないでしょうか。そのため、住工共生のため、創業環境保全、産業集積の維持・発展、新たな区内創業、住環境整備など今後の方向性についての区の認識を伺います。お答えください。 次に、安全・安心のまちづくりについて伺います。 西日暮里駅前再開発は、総事業費一千億円、高さ百八十メートル、四十七階建てのタワーマンション、一千戸の住宅、床面積三万平米の商業施設、一千五百席の大ホール、区の持ち出し百九十億円となっています。二百五十億円の税金が投入されると言われています。今年三月にも都市計画決定をしようとしています。 しかし、昨年行われた地権者の集い、環境影響評価書案の説明や近隣説明会の中でも、不安や計画の見直しを求める声が広がっています。この二月会議にも新たに十本の陳情が提出されています。 都市計画というのは、現在生活している住民がどうなるのかなど、三十年、五十年先を見通して、どういう都市を目指すのか、そのために基盤整備はどうあるべきか考えていくものだと思います。しっかりとした行政目的を持ち、幅広い住民の合意形成がなされているかが問われています。 区は、再開発に当たり、交通の結節点の強化、にぎわいの創出、生活の利便性、地域の活性化を推進するためだと言いますが、それでいいのでしょうか。住民の要求、情報公開、区民参加、優先順位の妥当性、財政計画や環境条件などの検討も求められます。住民の皆さんから、本当に千五百席の大ホールが今、区民にとって必要なのか、最優先される施設なのか、これほどの地球温暖化が心配され、CO2 を爆発的に増やすような超高層ビルの建設はいかがなものか、タワーマンションができれば、日照、風害、保育園、学校、高齢者施設等、環境や行政サービスに大きな影響が出る、解体・建設工事に関わって、騒音、振動、アスベスト対策はなどの区民の疑問に真摯に応えなければなりません。 最大地権者として荒川区は再開発組合に参加しています。文字どおり、この再開発の責任を負う立場であります。タワーマンションは、短期的には狭いエリアでの人口増加で、小中学校、保育園、幼稚園や医療機関の数が足りない。ホームからあふれるほどの通勤ラッシュになる駅もあります。また、長期的に考えると、外壁の傷みやエレベーターの故障など経年劣化が進むと、補修作業は一般マンションと比べても費用が五割増しかかると言われています。今後、入居者の高齢化が進み、多くの収入を得ることが難しくなる、老朽化しても修繕が追いつかないという状況が生じかねません。そして、いつか建て替えの時期が来ます。将来所有者が代替わりしたり、不在だったり、住民の合意形成が容易にできなくなるおそれやマンションのスラム化の問題といった将来課題も考慮することも必要です。 デベロッパーは説明会でこの規模の高さにしないともうからないのでとあからさまに言っています。あとは野となれ山となれでは、デベロッパーとゼネコンに食い物にされ、将来に禍根を残します。 そこで、一千戸のタワーマンションや巨額の区費を投入する大ホールの建設など、重大な問題をはらむ西日暮里駅前開発を見直すこと、答弁を求めます。 一方、災害に強いまちづくりを進めていく上で、木造密集地域の解消は待ったなしであります。不燃化特区の事業も五年延長が進められようとしています。燃えない、倒れないまちづくりは、住民の皆さんの理解と協力が欠かせないものです。粘り強い取組なしに成し遂げることはできません。推進していく上で困難な課題、高齢化や低所得、そして権利関係など正面から向き合い、建て替え支援の拡充や公的住宅の思い切った整備なしには、幹線道路側のマンションが建設などで不燃化率がアップしても、一番危険な幹線道路内側の部分の本格的な改善にはなりません。 そこで、不燃化特区事業の延長に伴い、道路の拡張だけにとどまらず、各町、丁目ごとの不燃化領域率を明らかにし、燃えない、倒れない、きめ細やかな住宅耐震、不燃化を促進することを求めます。 また、住宅耐震化、建て替え支援拡充とともに、建て替え、住み替えの促進に向けて、空き家なども活用した公的住宅、町屋五丁目住宅の活用などすべきと思いますが、区の見解を伺います。 高齢者、障がい者、ひとり親家庭や若い世代の所得の低下など、低所得の人たちにとっても、住宅を確保していくことが困難になってきています。都営住宅の入居希望が多いにも関わらず、新規計画はこの二十年間にわたってゼロになっています。そのため、応募倍率は一般募集で三十倍、単身者向けで五十倍にもなっています。建築計画を持つように東京都に求めることは当然です。 住まいは人権、この立場で、公的住宅の大量建設とともに、現在ある民間の資源も活用して良好な住宅確保を進めることは、地方自治体としての大切な仕事だと考えます。 借家供給を担う民間家主の八割は個人家主であり、経営規模も総じて零細になっています。そうしたこともあり、家賃滞納リスク、孤独死リスク、近隣トラブルリスクなどを抱えている人たちを入居の対象から初めからはじくことも多くあります。家主に対する行政の支援と入居後の継続的な居住支援があれば、入居拒否や入居差別は解決できるのではないでしょうか。当面、住宅確保要配慮者に対する家賃補助制度を創設することを求めます。答弁をお願いします。 自然災害が猛威を振るっています。首都直下型地震もいつ起きてもおかしくない状況であります。高齢者世帯などに家具転倒防止、感震ブレーカーの推進を来年度も進めるようでありますけれども、本気の取組がどうしても必要です。 一人の犠牲者も出さないために、家具転倒防止器具と感震ブレーカー設置一〇〇パーセントを改めて宣言し、推進することを求めます。答弁を求めます。 次に、交通安全対策についてお聞きいたします。 一月十一日、JR西日暮里駅で視覚障がい者の男性がホームから転落し、京浜東北線の電車に引かれ、死亡した痛ましい事故が起きました。日暮里駅は都内でも危険なホームと言われてきました。我が党は、二〇一八年四月にも、視覚障がい者の皆さんとともに日暮里駅を視察し、早期のホームドア設置を求めていただけに、JR東日本の責任は問われます。 改めて現場を見てみますと、現場は二本の線路に挟まれる島式ホーム。山手線側にはホームドアがあり、京浜東北線側にはない、階段脇の狭い場所であります。視覚障がい者はホームドアがある側とない側を勘違いして、転落する危険があると言います。 日暮里駅は、成田空港と都心を結ぶ京成電鉄との乗換駅、スーツケースを引く人が階段脇を通ると、すれ違う人も大変です。また、駅の改修工事のための囲いも通路を狭くしています。 京浜東北線は日中、快速運行され、高速で駅を通過します。事故後、ホームを監視する警備員を増員して、始発から終電まで複数配置になりました。区も早期のホームドア設置をJRに要請していただいたそうですが、改めて日暮里駅ホーム転落事故の重大性を受け止め、即刻ホームドアを設置するようJR東日本に強く求めるとともに、区内全駅ホームドア設置に向けての実態調査と鉄道事業者への要請を行うことを求めます。お答えください。 また、二〇一八年、豊島区の横断歩道で視覚障がい者の男性が車に引かれ、死亡事故が起きています。音響式信号機が設置されていましたが、近隣住民への配慮などから、早朝や夜間に誘導音を消していたと言います。都内の大半がこうした状況だと言います。視覚障がい者にとって必要な誘導音声と住民にとって騒音というお互いの立場を理解した上で、信号機の運用を考えることが必要です。 シグナルエイド(歩行時間延長信号機用小型送信機)などの導入も始まっています。こうしたことを考慮して、必要な音声信号機の設置促進を行うことを求めます。 視覚障がい者団体によると、圧倒的多くの方が自転車との接触事故、相手が特定できず、警察に通報しないケースもたくさんあるようであります。また、私どもの区民アンケートでも、多くの方が自転車の安全利用を求める声が寄せられています。 事故の一番多いのが交差点での出会い頭の事故です。信号無視や一時停止無視などの自転車側の安全不確認やルールを守らない行動が原因だと考えられています。 自転車は法律上、軽車両であり、自転車事故は自動車事故と同様に罰せられる可能性もあり、被害者に対する損害賠償責任も発生します。東京都が保険加入を義務化した条例が四月から施行予定です。こうした状況も踏まえ、自転車運転のマナー向上と保険加入の促進を図ることを求めます。 以上で、一回目の質問を終わります。(拍手)   〔区長西川太一郎君登壇〕 ◎区長(西川太一郎君) 小林行男議員の御質問に答弁申し上げます。 まず私からは、住工共生に関するお尋ねに答弁させていただきます。 荒川区は、都心近接という地理的な条件や交通の利便性を生かした物づくりのまちとして発展してまいりました。しかし、近年の経済のグローバル化やデジタル化、後継者難等によりまして、事業者の数は減少しております。 区内事業者が事業を継承していくためには、経営力を強化するとともに、地域との調和、共生、こうしたことに取り組んでいく必要がございます。 このため、東京商工会議所荒川支部の皆様から御要望もこれまでにたくさんございまして、これらを踏まえて、区内事業者の皆様が防音、防臭、また、耐震等の改修工事を行う際の補助制度を来年度に創設いたしたいと思い、これを実現していきたいと決意をいたしております。 また、区内の創業に関しましても、本年十二月に開設予定でございます日暮里地域活性化施設内に、ファッション関連のインキュベーション施設でございますとか、また、創業を御支援申し上げる創業支援カフェを整備いたしまして、近隣の創業支援施設と御一緒に連携を図っていきたいと考えております。 区内で創業していただく方を増やしていくために、こうした施策は必要であると存じます。区といたしましては、経営力強化を引き続き御支援申し上げますとともに、事業所周辺の生活環境の向上を図りながら、事業承継や創業の御支援を進めていくために、地域経済の持続的な発展をしっかり確保していくことが大事であると存じております。 これ以外の御質問には、関係理事者から答弁を申し上げます。   〔産業経済部長石原久君登壇〕 ◎産業経済部長(石原久君) まず、消費税に関する御質問にお答えいたします。 消費税は、社会保障の安定的な財源であり、将来の国民の生活の安定に資するものであることから、結果として地域経済の安定につながっていくものと理解しております。 また、昨年十月に行われた消費税増税に関しましては、軽減税率やプレミアム付商品券、キャッシュレス決済によるポイント還元等の対策により、前回の消費税増税時に比べれば、経済への影響が一定程度緩和されているものと認識しております。 区といたしましては、区民の暮らしと地域産業に寄り添うため、専門家による経営相談やきめ細やかな融資を行うとともに、経営力の強化のための補助金等により引き続き支援をしてまいります。 次に、製造業等経営力向上支援事業に関する御質問にお答えいたします。 国内の労働人口が減少していく中で、人手不足を補い、事業を継続していくためには、生産性を向上し、経営力を強化していくことが必須であると認識しております。そのため、本事業は、事業に必要な設備投資等に要する経費を対象として、原則として補助率四分の一、限度額百万円とした補助金を交付するもので、中小企業診断士等の専門家を申請事業者に派遣することが交付条件となっております。専門家派遣を実施することによりまして、効率的な経営や設備導入後の成長戦略を専門家とともに練ることができ、申請事業者の経営力の強化につながることから、今後も引き続き実施してまいります。 また、補助金を申請する際に、区内事業者からの購入を推奨するとともに、二社以上の見積もりを原則義務づけ、多くの事業者の取引機会の創出を図っているところでございます。   〔財政担当部長宮腰肇君登壇〕 ◎財政担当部長(宮腰肇君) 新年度予算に関する御質問にお答えします。 区では、これまでも幸福実感都市の実現に向けた施策を具体化するという一貫した考え方に基づき、予算編成に当たってまいりました。 新年度予算においても、例えば災害や犯罪から命や暮らしを守るための災害対策や防犯対策の推進、生活の糧を得るための就労の支援、生活の質の維持や健康寿命の延伸につながる介護予防の強化あるいは児童相談所基幹相談支援センターの設置による相談機能の拡充など、区民の皆様の命や暮らしを支える施策をしっかりと行うとともに、区民サービスの一層の充実にも取り組んでおります。 今後も、区政の各分野における重要課題等に対応する施策に限られた財源を重点的かつ効果的に配分するよう努め、全力で取り組んでまいります。   〔福祉部長片岡孝君登壇〕 ◎福祉部長(片岡孝君) 介護保険制度の見直しに関する御質問にお答えいたします。 法改正に関する検討は国の審議会で行われ、昨年十二月に介護保険制度の見直しに関する意見書が取りまとめられました。この意見書では、軽度者への給付は引き続き検討を行うことが適当とされており、要介護一や要介護二の方の訪問介護や通所介護サービスは、次期改正において総合事業への移管がなされるものではないと認識してございます。 また、利用者負担の原則二割化につきましても、意見書には、利用者への影響等を踏まえつつ、引き続き検討を行うことが適当と記述されております。区といたしましては、これらについて引き続き国の議論を注視しながら、法改正が行われた場合には適切に対応してまいります。 次に、第八期高齢者プランにおける介護サービス及び施設整備に関する御質問にお答えいたします。 区では、区民が住み慣れた地域で継続して生活ができるよう、第七期プランの中で介護サービス等の供給量を推計し、これに沿って認知症高齢者グループホームや小規模多機能型居宅介護事業所の整備を進めるなど、サービスの充実を図っているところでございます。 第八期プランにおきましても、地域包括ケアの進化・推進を図り、適切な介護サービス量などを推計してまいりたいと考えてございます。 次に、保険料の抑制に向けた一般財源の投入と国庫負担についてお答えいたします。 一般財源の投入につきましては、減免の三原則の中で、保険料減免分に対する一般財源の繰入れは行わないとされておりますので、一般財源を用いた保険料の抑制は考えてございません。 また、国庫負担につきましては、介護保険制度の持続可能性を確保すべく、財源も含めて国が責任を持って決定していくべきと考えてございまして、区といたしましては、引き続き様々な機会を捉え、国に対し地域の実情や意見等を伝えてまいります。 次に、介護職員の処遇改善や支援策に関する御質問にお答えいたします。 介護職員の人件費を含む介護報酬が介護保険制度の中で定められている以上、御質問の別枠での処遇改善の仕組みを作るということは難しいと考えております。 区では、国に対して介護人材の確保や育成等を含め、制度の持続可能性を高めるための検討を要望しているところであり、引き続き同様の対応をしてまいります。 また、区としての介護事業者や介護職員に対する支援の強化につきましては、現在行っている第八期プラン策定に向けた実態調査の結果等を踏まえ、総合的に検討をしてまいります。 次に、処遇困難な高齢者の支援に係る体制整備に関する御質問にお答えいたします。 処遇困難ケースは年々増加しており、その支援を担う福祉職について、区ではこれまでも採用を強化しており、スキルアップにも努めております。 御質問にございます高齢者福祉課のケースワーカーの体制ですが、本年度一名増員を行うとともに、令和二年度には組織改正を行い、高齢者の支援に特化した係を設置いたします。 次に、高齢者の様々な通いの場に関する御質問にお答えいたします。 健康寿命を延伸し、健康で自分らしい生活を送っていただくためにはフレイルの予防が重要で、区でも健康づくりや介護予防の取組の中でフレイル対策を実施してまいりました。 フレイル対策には運動、栄養、社会参加の三つの要素が必要で、社会参加への対策としては、これまで区では通いの場となるふれあい粋・活サロン等の支援を実施してまいりましたが、さらに来年度からは、区民主体の介護予防活動を支援するための補助事業の開始を予定しております。 今後とも、区では、健康づくりや介護予防の一層の推進を図ってまいります。   〔再開発担当部長都市計画担当部長松崎保昌君登壇〕
    ◎再開発担当部長都市計画担当部長(松崎保昌君) 西日暮里駅前地区再開発に関する御質問にお答えいたします。 西日暮里駅は、区内最大の乗降客数を有するものの、駅周辺には広場などの都市基盤施設が未整備であることや、大きな集客施設がないことから、にぎわいに欠ける等の課題があります。そのため、区では、再開発により駅前広場やペデストリアンデッキ等を整備し、交通結節機能を強化するとともに、大規模な商業やホール等の複合施設を整備することで、周辺地域を含めた広域拠点としてのまちづくりを目指しております。 再開発事業におきましては、先ほど申し上げた都市基盤施設や商業、公益施設のほか、住宅の整備により様々な都市機能を複合化することで、地区外から訪れるまちと住まうまちの両面から活力を生み出すことを目指しております。その中で、住宅の整備は、本事業の成立に不可欠なものであると考えております。住宅の整備による行政需要の増加につきましては、既に庁内で横断的に検討を始めております。また、ホール整備に関わる費用につきましては、現在見直しを行っており、引き続き経費の削減策を検討してまいります。 区といたしましては、再開発事業により駅前にふさわしい複合市街地を形成し、都市基盤の整備とにぎわいを創出することは地域にとって重要であると考えており、これを推進すべく、引き続き準備組合と連携し、早期の事業化に向けて取り組んでまいります。 次に、ホームドアの設置に関する御質問にお答えいたします。 日暮里駅京浜東北線のホームドアにつきましては、今回の事故を受け、改めて早期設置の要望を行ったところでございます。JR東日本からは、令和二年第二四半期以降に整備していく方針であるものの、できる限り早期に行うとの回答を得ているところでございます。そのほかの未設置のホームにつきましては、千代田線町屋駅及び西日暮里駅を今年度、日比谷線南千住駅を令和四年度までに、JR常磐線日暮里駅、三河島駅、南千住駅につきましては順次整備すると聞いており、計画がない駅としましては、京成電鉄町屋駅及び新三河島駅となっております。 区といたしましては、各鉄道事業者に対し、全ての路線にホームドアの設置を早期に行うよう、改めて強く申し入れを行ってまいります。 次に、音響式信号機に関する御質問にお答えいたします。 音響式信号機の設置に関しましては、荒川区バリアフリー基本構想における交通安全特定事業の中に位置づけてまいりました。 警視庁では、この計画に基づき、視覚障がい者の横断需要や自動車交通量を考慮した設置を進め、現在区内の国道、都道等の主要な道路や駅周辺の約八十か所に設置されております。 区といたしましては、今後も引き続きこの計画にのっとり、音響式信号機の設置をさらに進めるよう、警視庁に対して働きかけを行ってまいります。   〔防災都市づくり部長松土民雄君登壇〕 ◎防災都市づくり部長(松土民雄君) 住宅耐震・不燃化の推進に関する御質問にお答えいたします。 不燃化特区制度では、整備プログラムを策定し、地区全体の不燃領域率について数値目標を定め、事業を推進しており、主要生活道路の拡幅整備事業をはじめ、都市計画道路やオープンスペースの整備に取り組んでおります。このほか、地区内の老朽建築物の建て替え・除却・耐震化を促進するため、所有者への働きかけも積極的に進めております。 このように区では、道路の拡幅整備や老朽建築物を更新するための事業を町丁目ごとではなく、まち全体で進めており、今後も引き続き不燃化特区制度等を活用して積極的に取り組んでまいります。 次に、耐震化支援策の拡充に関する御質問にお答えいたします。 区では、充実した助成制度を用意し、耐震化の実施を呼びかけております。これまでに木造建築物の耐震化に関わる助成件数が三百三十七件、また、除却及び建て替えに関わる助成件数が六百四十一件に上るなど、一定の成果が上がっております。今後も各種助成制度を広く周知し、事業をさらに推進してまいります。 次に、空き家の利活用に関する御質問にお答えいたします。 空き家の利活用につきましては、空き家バンク制度や空き家利活用事業補助制度を創設し、進めておりますが、公的住宅としての利用は考えておりません。 次に、従前居住者用住宅に関する御質問にお答えいたします。 現在、従前居住者用住宅につきましては、町屋五丁目住宅と荒川二丁目住宅に各十戸を用意しており、適正に戸数を確保しているものと考えております。今後も状況に即した適切な従前居住者用住宅の確保に努めてまいります。 次に、住宅確保要配慮者に対する家賃補助に関する御質問にお答えいたします。 現在、区では、低所得の高齢者及び障がい者の生活の安定と福祉の増進を図るため、高齢者向け百三十七戸、障がい者向け六戸の区営住宅を供給しております。東京都におきましても、区内に四千百九十戸の都営住宅を供給し、住宅セーフティネットの中核としての役割を果たしております。 また、区における助成金等の支援策といたしましては、高齢者住み替え家賃等助成事業や高齢者民間賃貸住宅入居支援事業等を実施しております。加えて、ひとり親世帯に対しましては、住宅の紹介やひとり親世帯等民間賃貸住宅入居支援事業、母子及び父子福祉資金貸付事業を実施しております。 このように、これまでも住宅確保要配慮者に対する様々な支援を実施してきたところであり、新たな家賃助成等につきましては、今後の社会情勢の変化等を注視しつつ、必要に応じて検討いたします。   〔区民生活部長阿部忠資君登壇〕 ◎区民生活部長(阿部忠資君) まず初めに、屋内安全対策に関する御質問にお答えいたします。 屋内安全対策につきましては、家具類の転倒防止器具や感震ブレーカーについて、器具の購入・設置工事に係る費用を助成することにより普及促進を図ってまいりました。昨年度からは高齢者等の世帯を対象に、感震ブレーカー及び自動点灯ライトの無料配布事業を実施しております。さらに、家具転倒防止器具や感震ブレーカーの購入・設置への助成をはじめ、木造住宅の耐震診断への支援、高齢者住宅の改修支援など、在宅高齢者の安全・安心を守るための各種助成事業をまとめたパンフレットを作成し、普及啓発に努めているところでございます。 区といたしましては、引き続き関係部署と連携しながら、屋内の安全・安心対策を強力に推進してまいります。 次に、自転車マナーの向上等に関する御質問にお答えいたします。 荒川区では、交通事故全体に占める自転車事故の割合が高いことから、これまで交差点内のカラー舗装など道路環境の整備を行うとともに、幼稚園、保育園等の保護者を対象とした交通安全講話、また、自転車講習会など様々な対策を実施することで、マナーの向上及び事故の削減に努めてまいりました。 こうした取組の結果、平成十六年には四百六十六件あった自転車事故が令和元年には半分以上削減することができ、令和元年の交通事故の総件数は二十三区最少となりました。 本年四月から、都条例の改正により自転車保険の加入が義務化されることから、区では、安全な自転車の普及と保険加入の両方が促進できるTSマーク取得に対する助成を計画しております。 区といたしましては、引き続き自転車利用者のマナー向上に取り組むとともに、TSマークの取得を支援し、保険加入の促進に努めてまいります。 ○議長(茂木弘君) この際、議事の都合により休憩をいたします。           午後零時二十分休憩           午後一時二十分開議 ○副議長(菊地秀信君) 休憩前に引き続きまして会議を開きます。 三十一番松田智子議員。   〔松田智子君登壇〕 ◆三十一番(松田智子君) 私は、公明党、荒川区議会議員団を代表いたしまして、四項目にわたり質問をさせていただきます。西川区長をはじめ関係理事者の皆様には、積極的かつ前向きな御答弁をいただけますようよろしくお願いいたします。 質問に入る前に一言申し上げます。 今年に入り、世界を震撼させています新型コロナウイルス。一月三十一日、荒川区はいち早く対策本部を立ち上げたこと、高く評価いたします。現在のところ、区内に感染者の報告はありませんが、日々感染者数や死者数が全世界で更新されています。正確な情報発信と区民の安全対策を万全に行っていただくことをここで要望させていただきます。 それでは、質問に入らせていただきます。 初めに、今後の行財政運営についてお伺いいたします。 本年一月二十日、通常国会が召集され、安倍首相は施政方針演説で「全ての世代が安心できる全世代型社会保障制度を目指し、本年、改革を実行していく」と表明しました。公明党の山口那津男代表は代表質問の中で、政府が夏までに取りまとめる全世代型社会保障の最終報告について、少子高齢化対策を柱に位置づけて抜本的な強化に取り取り組むべきと主張しました。 これまで、日本の社会保障制度は高齢者向けの施策に偏っているとの指摘がありました。そこで、私ども公明党のリードにより、昨年十月から幼児教育・保育の無償化が始まり、今年四月からは私立高校授業料の実質無償化、大学など高等教育の一部無償化がスタートします。これにより全世代型社会保障の構築に向けた確かな一歩が踏み出されました。 これら公明党の主張を基に、私ども公明党区議団が日頃、地域の皆様、企業、団体の皆様から頂戴している御相談や御提案、御要望等を調査・精査し、昨年の九月、百四十二項目にわたる令和二年度予算に関する要望書として取りまとめ、西川区長へ提出いたしました。 内容を幾つか申し上げますと、本庁舎における七十二時間以上の非常用電源の確保、障がい者就労支援の推進、医療と介護の連携の充実、孤立の社会から支え合いの社会へ、八〇五〇問題対策の充実、教育における負担の軽減、児童相談所の区移管に向けた諸施策の実施等です。 これらを含め、今まで私どもが要望・提案してきたことに対し、西川区長は真摯に受け止めていただき、令和二年度予算案に多く盛り込まれていることを高く評価いたしております。 西川区長は、初当選以来、十六年間に及ぶ大胆かつ適切な政策立案により、基金を上回っていた区債を逆転させ、健全なる区政運営を行い、幸福実感都市あらかわ構築のため、力を尽くしてきたと認識をしております。 そこで、最初の質問です。 令和二年度荒川区当初予算として、「区民の安心と元気を育む幸福実感予算」と銘打ち、一千六十九億七千万円計上されました。昨年に引き続き過去最大規模の予算となりました。今回の予算は、西川区長四期目総仕上げとなる大変重要なものと考えますが、西川区長の御決意をお伺いいたします。 次に、荒川区SDGs推進宣言についてお伺いいたします。 国連が二〇三〇年までの実現を目指す「持続可能な開発目標(SDGs)」。達成期限までの残り十年を見据え、政府は昨年十二月二十日、中長期的な国家戦略であるSDGs実施指針を初改定しました。 その内容は、日本が世界を誰一人取り残されることのない持続可能なものに変革すると強調。さらに、国会と地方議会の役割について、国民一人一人の声を拾い上げ、国や地方自治体の政策に反映されることが期待されていると明記されています。このことに関して政府は、私ども公明党の要望を踏まえて、SDGs実施指針の中に初めて「議会」が盛り込まれました。 昨年、第一回SDGsクリエイティブアワードという大会が行われました。そこで最高賞に選ばれたのは、北九州市小倉北区の魚町銀天街という商店街です。ここでは、商店街を挙げて太陽光パネル、環境に配慮した塗料の使用、お茶の出がらしをおいしく食べる専用ドレッシングの販売など、取組を行っています。知らずにSDGsにつながっている取組が商店街各所にあります。社会を変える行動と聞くと難しそうですが、実はふだんの生活に多くのヒントがあります。 また、東京都では、時差出勤やコンビニの店舗でレジ袋を断った場合、再利用可能な容器を使用した弁当を購入し、返却した場合などSDGsに沿った活動をした人にポイントを付与する実証事業が行われています。 そこで、区として、荒川区SDGs推進宣言を高らかに宣言し、誰一人取り残さない荒川区構築のため、全庁挙げて取り組み、区民一人一人がSDGs活動に取り組める環境づくりをしていくべきと思いますが、区の御見解をお伺いいたします。 次に、二項目目といたしまして、子どもの命を守る政策についてお伺いいたします。 最初に、子どもの権利について三点お伺いいたします。 一点目に、(仮称)荒川区子どもの権利条例の制定についてお伺いいたします。 一月二十八日、新聞報道された痛ましい事件がありました。東日暮里在住の二歳の女の子が同居していた母親の交際相手の男性に暴力を振るわれ、救急搬送され重傷、男性は逮捕・拘留されました。こうなる前に何かできなかったのかと誰もが悔やみ、心を痛めます。 子どもの権利条約は、一九八九年の国連総会で採択されました。これは子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約です。十八歳未満の児童・子どもは権利を持つ主体と位置づけ、大人と同様、一人の人間としての人権を認めるとともに、成長の過程で特別の配慮が必要な子どもならではの権利も定めています。日本は一九九四年に批准しました。東京においては、日本が批准した七年後の二〇〇一年、世田谷区を皮切りに六自治体が子ども条例を制定しています。 二〇一六年六月、児童福祉法の一部を改正する法律により、特別区において児童相談所を設置できることになり、西川区長はどの自治体よりも早く手を挙げ、荒川区児童相談所設置に向け、動き始めました。全庁を挙げて開設に向け、全力で人材の配置や事業整備に当たってきました。関係部署の方々に心より感謝を申し上げます。 いよいよ本年四月、荒川区子ども家庭総合センターが、七月より荒川区児童相談所が開設いたします。西川区長は、あらゆる場面で「子どもは未来の守護者」と叫ばれ、子どものための環境整備を行ってきたことは周知のとおりです。私ども公明党区議団も同様です。これからも西川区長並びに区当局と連携し、全力で子どもの命を守る対策に取り組んでいく決意です。 そこで、何よりも一番に守るべき子どもの命を守るため、(仮称)荒川区子どもの権利条例の制定をしていただき、子どもの権利と命を守る荒川区の姿勢を表すべきと思いますが、区の御見解をお伺いいたします。 次に、(仮称)荒川区子どもへの虐待防止条例の制定について伺います。 目黒区で発生した子どもの虐待による悲惨な事件を受け、東京都は昨年四月一日、都議会公明党が強く進めてまいりました東京都子どもへの虐待の防止等に関する条例を制定しました。条例には、子どもを権利の主体として尊重し、保護者による体罰の禁止などが盛り込まれています。 また、国においては、昨年六月、公明党の提言が随所に反映され、児童虐待防止対策を強化するため、親などによる体罰の禁止や児童相談所の体制強化などを定めた児童福祉法等改正法が成立しました。 改正法では、子どもへのしつけと称した体罰が虐待につながっていることから、我が党が強く求めていた体罰の禁止を明記しました。本年四月より施行します。 国や東京都の取組を踏まえ、荒川区として(仮称)荒川区子どもへの虐待防止条例を策定し、(仮称)荒川区子どもの権利条例とともに、荒川区児童相談所設置に伴う子どもの命を守る対策を万全に整えるべきと考えますが、区の御見解をお伺いいたします。 いじめは小さな戦争と言った人がいます。いじめや差別は身近なところにもあり、戦争とか弾圧とか極端な形を取ることがあります。形は違っても、根っこは同じです。一人の人を大切にする、これが人権の心であり、私の信念です。 子どもの権利について最後の質問として、今、御提案しました二つの条例を一日も早く制定していただき、その条文を子どもが授かり、初めて親が手にする母子健康手帳の最初の一ページに掲載し、保護者や子ども、そして区民に対し、速やかに普及啓発をしていただきたいと思います。区の御見解をお伺いいたします。 次に、里親委託前交流費用の助成策についてお伺いいたします。 虐待や経済的理由など様々な事情で家族と暮らせない子どもを家庭的な環境で育てる里親制度があります。現在、里親の家庭で生活をしている荒川区の子どもは五名いると聞いております。また、荒川区で里親となっている個人の家庭七か所、ファミリーホーム一か所、子どもさんを預かっています。荒川区の子どもであっても、区内の里親の元で生活をしているのではなく、むしろ区外の里親や養護施設などで生活していることが多いそうです。家庭内の問題によって児童相談所に預けられるので、自宅の近くではないところで預けられるということです。通常、里親は、委託前に子どもの相性などを確認するため、一定期間、乳児院、児童養護施設での面会や外出、外泊などの交流を行います。 そこで、今回の補助事業は、児童相談所設置自治体が交流期間中の交通費などを補助する場合に国も経費を負担するもので、国と自治体が二分の一ずつ負担することになっていますが、実際に補助を行うかどうかや金額を幾らにするかは、各自治体の判断に委ねられているということです。 そこで、本年七月から始まる荒川区児童相談所での業務の中で重要とされている里親制度、里親の経済負担を軽くするためにこの補助事業を取り入れるべきと思いますが、区の御見解をお伺いいたします。 次に、ひとり親家庭の養育費不払いの支援策についてお伺いいたします。 離婚により発生した養育費は、ひとり親となった家庭の生活において大変重要な経済力になります。しかし、厚生労働省の調べによると、ひとり親家庭の貧困となる要因の一つとして、養育費の不払いが挙げられました。また、ひとり親家庭の相対的貧困率は五〇・八パーセントと二人に一人が貧困状態にあります。 離婚後、ひとり親が貧困に陥らないための費用として、寡婦福祉法において扶養義務の履行が規定され、養育費支払いの責務が明記されました。子どもに対する養育費の支払い義務は、親の生活に余力がなくても、自分と同じ生活を保障するという強い義務、生活保持義務だとされ、自己破産した場合でも子どもの養育費の負担義務はなくなりません。親として子どもの生活を保障し、心の成長を支えることは当然の責任であり、養育費の支払いは親として子に対する最低の義務であります。 しかし、養育費の取決めをしている割合は、二〇一六年度厚生労働省の調べでは、母子家庭で四二・九パーセント、父子家庭で二〇・八パーセントです。さらに、養育費を受け取っている家庭は、母子家庭で二四・三パーセント、父子家庭で三・二パーセントとなっており、どのように取り決めをしたらよいのか、せっかく養育費の取り決めをしていても、支払われず泣き寝入りする例も多く、十分な生育環境を整えられないなど、子どもの不利益に直結しています。 こういった不払いを解消するため、保証会社が養育費の不払いを立て替え、離婚相手から回収する仕組みがあります。 兵庫県明石市では、二〇一八年十一月、保証会社と連携して不払いを防ぐ実証実験を始めたのに続き、大阪市も同様の制度を導入し、東京都においても保証料を補助する見込みであるとの新聞報道がありました。 そこで、区においても、東京都の制度を活用して、ひとり親家庭が貧困に陥らないためにも、不払いとなっている養育費を受け取る支援をする仕組みを作るべきと思いますが、区の御見解をお伺いいたします。 次に、障がい児の療育の場での給食費の無償化についてお伺いいたします。 たんぽぽセンターを含め、区内十一か所ある児童発達支援事業所は、障がい児を療育の場として預かる施設です。昨年十月より始まった幼児教育・保育の無償化と併せて、児童発達支援事業所の利用者負担も無償となりました。しかし、給食費は個人払いとなっています。事業所によっては給食が出ないでお弁当持参のところもあり、統一されていないことが理由とされています。 障がい児を持つ保護者の方にしてみると、健常で区内の保育園に通う子どもは保育料、給食費ともに無償となっているのに、なぜ障がい児養育の場での給食費は実費なのかということです。区の独自策として、障がい児の療育の場での給食費を無償化していただきたいと思います。区の御見解をお伺いいたします。 三点目として、健康対策についてお伺いいたします。 初めに、健康寿命延伸策として三点お伺いいたします。 一点目は、特定健診受診率向上のための調査と世代別受診勧奨をすることについてお伺いいたします。 特定健診とは、国民健康保険被保険者で四十歳以上の区民を対象に実施しており、無料で健診を受けられる制度です。平成二十九年度の調べでは、健診対象者は三万二千五十六人、そのうちの一万四千四百八人が健診をしており、健診率は四四・九パーセントです。区は、この特定健診を受診した区民のレセプトデータを基に、成人病対策として再健診、受診勧奨や食生活改善指導など、糖尿病、栄養相談や様々な健康対策を実施しています。しかし、その基となるデータは特定健診を受診した方です。健診を受ける区民が半数に満たないのでは、重症化予防対策が進むのか疑問です。 健診に行かない理由としては、仕事をしていて健診に行く時間がないとか、四十代の若い世代の方は、健康に自信があって、健診の必要性を感じないといったことが考えられます。 特定健診受診者を増やすためにはどうしたらいいのか、受診対象者に対し、何が原因で健診を受けないのか、アンケートなどで調査をし、その結果から、受診勧奨の方法を考えてみてはと思います。健診を受けない原因を調査し、受診勧奨の方法を年齢別など工夫してはと思います。例えば若い世代には、SNSなどを利用して健診の受診勧奨をしてみてはと思います。区の御見解をお伺いいたします。 健康寿命延伸策の二つ目として、フレイルの意識醸成策と健診の充実についてお伺いいたします。 私は二年前の本会議でフレイル予防対策について提案いたしました。現在、区はホームページでの案内や各地域の粋・活サロンなどでフレイル予防対策を講じていると聞いていますが、私の地域の老人会の方や町会の方にフレイルについてお聞きしても、あまり知られていなく、認知度が低いと感じます。 介護や医療に頼らない、健康寿命をいかに延ばしていくのか、それにはフレイル予防が欠かせません。フレイル予防を身近に感じられるよう、ひろば館やふれあい館での講習会や講演会、体操などを開催し、幅広く広報していただきたいと思います。 また、二〇二〇年度より厚生労働省は、七十五歳以上の高齢者に対しフレイル健診の義務化を打ち出しています。フレイル予防の意識醸成を図りながら健診の充実を行い、フレイル予防、回復に役立てていただきたいと思いますが、区の御見解をお伺いいたします。 三つ目に、健康ポイントで学校、園に寄附する制度の創設についてお伺いいたします。 以前、我が党が提案してまいりましたウオーキングなどの歩数や運動をしたことでポイントが付与される運動・健康ポイント制度を創設し、そこで得たポイントを子どもの施設である学校や保育所、保育園などに寄附をする制度を行ってみてはと思います。 兵庫県豊岡市では、十八歳以上の市民を対象に、歩くことによる健康づくりに取り組み、運動目標を自身の体力に応じて月ごとに設定、達成状況に応じてポイントがたまる仕組みで、たまったポイントは、市内小中学校や幼稚園、保育園への寄附や市内の施設使用料や図書カード等に変換ができます。このような取組を参考に、健康のための取組にポイントを付与し、そのためたポイントを子どもたちのために寄附するという仕組みをしてみてはどうでしょうか。区の御見解をお伺いいたします。 健康対策の最後に、大人食堂の設置についてお伺いいたします。 昨年十一月の本会議で我が党の増田峰子議員が提案いたしました。孤食をなくすため、また、子どもたちを巻き込んだ共生社会を実現するため、大人食堂を広げてほしいと要望いたしました。 現在、区としては大人食堂は三か所で行っており、私の住む東尾久地域にはまだありません。住民主体型の大人食堂を荒川区内全域にバランスよく配置していただきたいと思います。区の御見解をお伺いいたします。 質問の最後に、防災・減災対策について三点お伺いいたします。 初めに、防災・減災対策として、都立産業技術高等専門学校との防災協定についてお伺いいたします。 荒川区内の公立学校は、荒川工業高等学校、竹台高等学校、首都大学東京荒川キャンパスと産業技術高等専門学校の四校あり、区と災害時の防災協定をそれぞれ結んでおります。産業技術高等専門学校以外の三校は、震災時の区民や被災者の避難所としての機能を有しており、産業技術高等専門学校の協定内容は、他自治体の応援職員、カウンターパートや警察、消防の救助部隊などや災害ボランティアセンターの開設場所として提供するということになっています。 そこで、昨年の台風による水害などが起きた場合、区民の垂直避難場所としての機能も含めた協定を産業技術高等専門学校と結んでいただき、地域の防災・減災対策につなげていただきたいと思いますが、区の御見解をお伺いいたします。 次に、商業施設との災害時の地域貢献に関する協定の締結についてお伺いいたします。 昨年の台風十九号の発災時、区は自主避難場所としてひろば館やふれあい館を開設いたしました。私は、当日、避難所に高齢者の方を送迎していたところ、雨風がひどくなってきた中、乳児を背負い、もう一人の子どもの手を引き、もう片方の手にはオムツやミルク、水など大きな荷物を抱え、傘も差さずに必死に避難してきた親子に遭遇しました。 そこで、商業施設と防災協定を結び、高齢者や子どものいる不安や恐怖を感じる家庭など、食料や水などを車に積んで、一時的に自家用車ごと二階や三階屋上などにある駐車場に避難できるようにしていただきたいと思います。区の御見解をお伺いいたします。 なお、復旧活動に必要とされる車両や資機材等を商業施設の最上階等に事前に搬送し、駐車しておける場所としても確保していただけるよう、ここで要望させていただきます。 最後に、中学校区単位のあらBOSAIの開催についてお伺いいたします。 平成二十七年度より始まった中学校の防災部とあらBOSAI、今年の三月一日の開催で五回目を迎えます。この間、区と学校と防災部の連携で大変多くの中学生が防災部の活動に参加し、防災ジュニアリーダーに成長したことは、区民にとってどれほど心強く感じているか計り知れません。あらBOSAIでは、区内の中学校十校全校の防災部員が午前と午後に分かれ、様々なブースを設置し、主体者として参加しています。 開催場所は、荒川総合スポーツセンター運動場とあらかわ遊園運動場の二か所で交互に行っておりますが、区民全体への周知はなかなか広がっていないと感じます。頼もしい防災部員たちの手作りのあらBOSAIだからこそ、たくさんの区民の方々にその活躍ぶりを知っていただきたいと思います。 そこで、数年に一度、各中学校区単位であらBOSAIを開催してはどうでしょうか。中学校区ごと十か所の地域で地元町会の方々を巻き込んであらBOSAIを開催し、保護者の皆さんや地域の皆さんとともに、中学生や防災部員たちの活動を披露したり、防災について学ぶ場を作ってみてはと思いますが、区の御見解をお伺いいたします。 以上で一回目の質問を終わります。   〔区長西川太一郎君登壇〕 ◎区長(西川太一郎君) 松田議員の御質問に御答弁申し上げます。 初めに、令和二年度予算編成に関する御質問にお答えを申し上げます。 私は、区長就任以来、一貫して、誰もが幸福を実感できる地域社会を目指して、全力で取り組んでまいったつもりであります。来年度の予算編成におきましては、そうした思いを形ある取組として実現して、区民の皆様により一層幸福実感をしていただけるまちを作っていくべきだと最大限の努力を傾注いたしたいと存じます。 例えば、児童相談所や障がい者の方々に対しての基幹相談支援センターを開設して、区民のお悩みに沿って、解決に向けて取り組まなければいけないとか、また、水害対策や交通事故対策の充実・強化など、区民のお命や財産を守る取組、そして、あらかわ遊園のリニューアルでございますとか、宮前公園または新尾久図書館の充実・整備など、区民の皆様に心にゆとりをお持ちいただき、潤いを感じていただける施策をお届けすることが必要だと考えております。 日暮里地域活性化施設の開設などもその一つでございまして、地域を活気づけていく取組は大変重要だと存じます。 また、御党からは、区政の各分野にわたりまして、様々な御提案を頂戴いたしております。要望もいただいております。本予算案の編成に当たりましては、そうした視点をぜひと思い、可能な限り反映させたつもりでございます。 一例を挙げますならば、情報発信力強化に向けたホームページのリニューアル、女性目線の防災対策の強化、交通安全対策のさらなる充実、魅力ある宮前公園の整備、また、教員の多忙な中での教育に対しての傾注ができるための多忙化の解消、そうしたことに向けて努力を行い、学校のいろいろなお仕事に対しての支援策を充実していきたい。こうしたことを着実に進めてまいることが肝要であると考えているところであります。 これからも今まで以上に区民の皆様の笑顔を増やしていけるような政策努力を、いかなる小さな声にもしっかりと耳を傾け、光を当てさせていただいて、そうした施策を綿々と重ねていかなければいけないと存じているところであります。皆様方の一層の御支援と御協力をぜひお願い申し上げたいと存じます。 次に、お子様たちの貧困に関する御質問にお答えをいたします。 子どもの貧困は、物質的な困窮や学力の格差だけでは処理できません。子どもの健やかな成長、そして未来に向けて可能性をたくさん持った未来社会の守護者と私が呼んでおります皆さんが、阻害されることなく、明日への希望をしっかり持って努力をされるかいのある、前進の可能な、そうした社会を作っていくことが何より肝要だと思います。 特にお子さんたちの相対的貧困率が高いひとり親家庭に関しましては、できる限りの早期の段階での御支援を開始させていただくことが肝要であると考えております。 そのために、荒川区では、子どものいる御夫婦が離婚の手続を行う前に、家庭裁判所の調停委員の御経験者による家庭の相談につきましても、鋭意努力をし、養育費の受取り方法など具体的な情報の提供等をきめ細かく該当の方々に広めていくという努力が必要だと存じまして、これに力を入れてまいりたいと存じます。 しかしながら、一方で養育費を取決めていながら支払ってもらえないという切ない課題を持っておられる方も増えている状況でございまして、これらの専門家の御指摘にも荒川区としては真摯に耳を傾け、きちんと対応させていただかなければならないと存じております。 御質問の不払いの養育費用を受け取れる仕組みは、ひとり親家庭の生活の安定につながることにもなりますので、将来を担うお子様たちがよりよい環境で育っていただくために、親ができなかったことをお子様たちがしっかり成人した暁には守っていけるような、幼児期から少年期、青年期に対して区が寄り添っていける、そういう覚悟で努力をしていくべきであると愚考いたしているところであります。 公正証書の作成費用の助成、保証会社によります養育費の保証等の実施に向けた新たな制度の設計に着手をしたところでございます。 私は、ひとり親家庭に対する相談や経済的な支援策等の充実をしっかり図りながら、お子様たちの将来が生まれ育った環境によって左右されることのない、格差のない、そうした社会を作っていくために、区議会の全党派の議員の皆様の御協力を賜りながら、全力で子どもの貧困の解消に取り組んでまいりたいと存じます。重ねての議員をはじめ、議場の皆様方の御協力をこの機会にお願いを申し上げる次第でございます。 ただいま御答弁を申し上げさせていただきました以外の御質問につきましては、関係の理事者からお答えを申し上げさせていただきます。ありがとうございました。   〔総務企画部長五味智子君登壇〕 ◎総務企画部長(五味智子君) SDGsに関する御質問にお答えいたします。 二〇一五年九月の国連サミットで採択された持続可能な開発目標であるSDGsは、貧困問題、健康、福祉、教育、産業、まちづくり、環境問題など多岐にわたっており、区政の様々な分野に深く関わっております。 区では、全ての区民の皆様に幸福を実感していただける地域社会の実現を目指し、様々な分野の取組を行ってまいりましたが、これらはSDGsが目指すべき方向性と重なるものと考えております。 昨年十二月、国においてSDGsの実施指針の改定が行われました。さらにその行動計画であるアクションプランも示されました。実施指針の改定版においては、政府及び議会、地方自治体、企業、消費者等の様々な利害関係者が各種計画の策定や実施等に当たってSDGsの達成に向けた貢献という観点を取り入れ、その要素を最大限反映する考えが示されております。 区といたしましては、国の指針及びアクションプランを踏まえ、他の自治体等の取組なども参考にしながら、計画策定や事業へのSDGsの考え方の反映を検討してまいります。   〔子育て支援部長青山敏郎君登壇〕 ◎子育て支援部長(青山敏郎君) 子どもの権利に関する御質問にお答えいたします。 区では、児童相談所の業務開始に伴い、本年四月から所管部の名称を子ども家庭部に変更するなど、これまでの保護者への子育て支援に加え、子どもの権利擁護を一層重視してまいりたいと考えております。 御質問の子どもの権利条例については、児童の権利に関する条約が批准された後の法制化されるまでの間に各自治体において取り組まれてきたものと認識しており、平成二十八年の児童福祉法改正において、子どもの権利の尊重が基本理念として条文に明記されるなど、法律の整備が図られております。 また、子どもへの虐待防止についても、法改正や東京都の条例などで虐待につながる体罰の禁止が盛り込まれ、その取組を推進していくことなど、現時点で考え得る対策がほぼ網羅されていると考えております。 このため、区といたしましては、法や条例の趣旨を区民に浸透させていく普及啓発が重要だと考えており、ゆりかご面接や両親学級などにおいて子どもの権利の大切さを伝えるなど、虐待防止の啓発を実施してまいりました。 区といたしましては、今後、総合的な児童相談行政を進めていく中で、御質問の趣旨を踏まえ、必要な条例や普及啓発の手法について調査研究してまいります。 次に、里親への支援に関する御質問にお答えいたします。 様々な理由により親と離れて暮らさざるを得ない子どもたちが地域の中で安心して生活を継続できるよう、里親が子どもとの関係を築いていくための丁寧な支援が不可欠であると認識しております。 こうしたことから、区児童相談所の開設に当たって、都と区では、その子どもに最も合う里親を児童相談所の設置区だけでなく、都内全域から候補者を探して委託することを合意したところです。そのため、都と区が共通の内容で里親支援を実施することとしております。 区といたしましては、議員御指摘の委託前の交流に係る経費も含め、現在都で実施している支援内容を全て実施するとともに、今後、国から示される補助制度の内容なども踏まえ、さらなる里親支援の充実に向け、都や他区との協議に努めてまいります。   〔福祉部長片岡孝君登壇〕 ◎福祉部長(片岡孝君) 障がい児施設における給食費の無償化に関する御質問にお答えいたします。 発達に支援が必要な児童が療育のために通う児童発達支援事業所の給食費は、当区では実費負担としているところでございます。 現状といたしましては、区内では区立のたんぽぽセンターを含め、昼を挟む場合は主に各自でお弁当を持参していただいている状況にございます。給食を提供する区外の施設に通う児童も数名いらっしゃいますが、人員体制や設備の状況等により食事の内容が様々で、給食費も事業所によって異なってございます。そのため、現時点では給食費の一律無償化は課題があると考えており、仮に区が給食費を負担するとした場合でも、その請求や支払いを円滑に行う方法等について、十分な検討が必要になるものと認識してございます。 区といたしましては、他区の状況を注視しながら、食費負担の在り方について引き続き検討をしてまいります。 次に、特定健診の受診率に関する御質問にお答えいたします。 特定健診は、生活習慣病の要望を目的とした健康診査であり、より多くの方々に受診していただくことが重要でございます。 区では、これまで対象者に対して、区報、ホームページに加え、SNSを活用した受診勧奨や二年連続未受診者に対する個別勧奨通知の送付など、受診率向上に向けた取組を進めてまいりました。しかし、平成三十年度の受診率は四四・七パーセントにとどまっております。そのため、今後は、受診を行わない方々の理由を把握することについても、実施方法については多々課題があると考えておりますが、さらなる取組につなげていくため、研究してまいりたいと考えてございます。 また、区では、対象者の年齢ごとに通知内容を変えて受診勧奨を行っていますが、より行動変容につながる文面を検討することにより、通知効果の向上を図ってまいります。今後ともさらなる受診率の向上に努めてまいります。 次に、フレイルに関する意識醸成と健診の充実に関する御質問にお答えいたします。 高齢者自身とその御家族がフレイルに対する高い関心と正しい理解を持つとともに、健康状態を定期的にチェックすることが重要でございます。そのため、区では、これまで丸ごとシニアガイドなどによる周知のほか、各種介護予防事業において意識醸成に取り組んでまいりました。 今後は、新たにフレイル予防隊養成講座を開催するなど、フレイルの周知徹底と介護予防の取組の充実を図ってまいります。 また、後期高齢者に対する健診については、区においては、平成二年度以降、健診においてフレイルなど高齢者の特性を把握するための質問票を新たに活用することとし、後期高齢者の健康状態を総合的に把握するとともに、必要な支援につなげてまいりたいと考えてございます。 次に、大人食堂に関する御質問にお答えいたします。 高齢者の皆様が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを継続していくためには、様々な形での就労や社会参加等ができる環境の整備が必要であり、御提案にございました大人食堂をはじめ、住民主体の活動が基本となりつつある通いの場の運営など、介護予防に資する取組の支え手となっていただくことが大切です。 大人食堂については、類似の活動を含め区内に広がり始めておりますが、主催者の金銭的負担が大きくなっているとの声もあることから、来年度はこうした区民主体の介護予防活動を支援するための補助事業の開始を予定しております。 区では、この補助事業に加え、生活支援コーディネーターの活用を通し、御質問の趣旨を踏まえ、区内の様々な団体等との協力により、地域のニーズに合わせた大人食堂や新たなサービスの開拓を行い、高齢者の健康増進や介護予防の一層の推進を図ってまいります。   〔健康部長石原浩君登壇〕 ◎健康部長(石原浩君) 健康ポイントの導入に関する御質問にお答えいたします。 健康づくりは、何よりも継続的な取組が必要であると認識をしております。御提案の健康ポイントにつきましては、ポイントを小中学校等に寄附することも含め、一定のインセンティブになるものと考えております。しかしながら、実施自治体では、運動を始めるきっかけになったなどの成果は得られている一方、事業開始後もいかに運動習慣を継続していただくかが課題となっているとも聞いております。 また、誰もが公平に参加いただけるような環境やポイントを管理するためのシステム等も必要となり、費用対効果も踏まえて実施を検討していく必要があるものと認識をしております。 区といたしましては、他自治体の取組も参考にしながら、引き続き検討してまいります。   〔区民生活部長阿部忠資君登壇〕 ◎区民生活部長(阿部忠資君) まず初めに、防災協定に関する御質問にお答えいたします。 このたび公表いたしました荒川区風水害対応方針でもお示しいたしましたとおり、荒川が氾濫した際には区内の約九割が浸水し、多くの区民が被災することから、大規模水害時に垂直避難が可能な建物の確保を進めていくことが重要と認識しております。 区では、これまで民間施設として大型マンション等を中心に働きかけを行い、災害時地域貢献建築物として認定を行ってまいりました。引き続き関係部署とも連携を図りながら、多くの建物から御協力をいただけるよう働きかけてまいります。 御質問いただきました産業技術高専につきましては、災害時における応援職員等の宿舎、災害ボランティアセンターとして御提供いただくところでございますが、今後、水害時の緊急避難場所としても活用できるよう協議を進めてまいります。 また、商業施設の上層階にある駐車場等に区民が車で垂直避難できるようにすることにつきましては、御提案の趣旨を踏まえ、区内にある商業施設に対して協定締結に向けた協議を進めてまいります。 次に、あらBOSAIに関する御質問にお答えいたします。 あらBOSAIは幅広く多くの世代の方が防災に関する知識や技術を学ぶことができるよう開催しており、これまで防災に関する実例の展示や体験型ブース等を通じて防災意識の啓発を図るとともに、中学校防災部が日頃の活動成果を披露するほか、イベント運営に参加することにより、ジュニア防災リーダーとしての自覚や誇りの醸成を推進してまいりました。 また、このほか中学校防災部は、毎年避難所開設・運営などに参加しており、活躍の場を広げ、地域におけるジュニア防災リーダーとして着実に育ってきております。 区といたしましては、御質問の趣旨を十分踏まえ、あらBOSAIの実施方法等について研究するとともに、教育委員会とも連携を図りながら、中学校防災部が地域の防災の担い手として、これまで以上に活躍できるよう創意工夫を図ってまいります。 ○副議長(菊地秀信君) 四番宮本舜馬議員。   〔宮本舜馬君登壇〕   〔副議長退席、議長着席〕 ◆四番(宮本舜馬君) あたらしい党の宮本舜馬です。会派を代表いたしまして、第二回目の一般質問を行わせていただきます。 今回の一般質問の内容は、区民の方からお預かりした意見を基に作成をさせていただきました。区政に届けてほしいと強く要望を受けたものですので、理事者の皆様におかれましては、ぜひ前向きな答弁をいただきますようよろしくお願いを申し上げます。 今回は、大きく二つの分野から質問を行います。 一点目は、近年、ニュースでも度々取り上げられています飼い猫の多頭飼育崩壊に対する区の認識と対応策を講じる必要性について、二点目には、以前から担当各課には御相談をさせていただいておりましたごみのポイ捨てへの対応と対策について。なお、質問だけではなく、提案型の内容で進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 それでは、一点目の質問に入ります。 近年、飼い猫が自宅内で繁殖を繰り返し、飼育管理が困難となってから問題が表面化する多頭飼育崩壊が問題となっております。ふん尿の始末も適切に行われていないことも多く、ごみ屋敷と化していたり、マンションやアパートなどの集合住宅で発生した場合には、悪臭によって近隣住民へ被害が及ぶ事例も報告されています。 昨年の決算に関する特別委員会などでも猫の繁殖の問題については指摘を行ってきましたが、野良猫だけではなく、飼い猫も避妊去勢を行わないまま、雄と雌が生殖可能な環境に置いておけば、どんどんと繁殖を繰り返してしまいます。猫の繁殖能力は非常に高く、生後六か月前後で繁殖が可能となり、盛りもこの時期に来ると言われておりますが、どれほどの速さで増えていくのかについて、まずは御説明をさせていただきたいと思います。 まず、一頭の雌猫は一度の出産で平均五頭の子猫を出産し、母猫は生後二か月で再度妊娠が可能となります。生まれた子猫たちも約六か月で繁殖機能が成熟するため、多くの方が考えているよりも速いスピードで個体数を増加させていきます。 環境省の作成したパンフレット「もっと飼いたい」では繁殖抑制対策を全く進めない状態で猫を放置すれば、一頭の雌から一年後には二十頭、二年後には八十頭、三年がたつと二千頭以上に個体数を増やすとの試算データが発表されています。 質問の多頭飼育崩壊を前提としてお話をさせていただきますと、私がこれまでの委員会や議会の中で幾度にもわたり、飼い主のいない猫、すなわち野良猫への対策を効率的に進めるためには、ボランティア数や避妊去勢に携わる人数をもっと増やしていくべきだと申し上げてきたのには、この繁殖スピードの速さが大きく関係をしています。 荒川区の飼い主のいない猫への対策事業においては、区内の八〇パーセント近いエリアで活動団体がおらず、繁殖を確認してから、エリア外の団体であったり個人の方が動いているというのが現状ではないでしょうか。 区では、近年、毎年五百万円近い予算を投入して、飼い主のいない猫への繁殖抑制対策を講じており、本事業における年間の避妊去勢手術件数は毎年二百頭前後で推移しています。 先ほど申し上げたとおり、猫は理論上、一年で一頭から二十頭に繁殖をすることが可能です。毎年二百頭近くを避妊去勢しても、避妊去勢が進んでいない雌猫が区内に十頭存在していれば、個体数を一年で回復することができてしまうのです。 野良猫の個体数を完全に把握をすることは困難であり、自然環境下では、事故や病気などでの個体数の減少はあるものの、区の避妊去勢の助成申請件数の推移を見ると、現状維持が精いっぱいという印象を受けることに加え、団体の高齢化や活動団体の減少を考慮すると、このままでは野良猫が微増していく可能性を拭い切ることはできないのではないでしょうか。 荒川区は、全国的に見ても極めて珍しい避妊去勢手術費用の全額助成という制度があるわけですから、このすばらしい助成制度を生かして、一斉に避妊去勢を進められる環境を整えるべきだというのがこれまでの私の主張であります。 多額の税金を投入しても、個体数が現状維持でとどまっている現状は、税の使い方としても区民の理解を得られるものではありません。 この事業で成果を上げている台東区では、事業発足から十年で避妊去勢が必要な個体数の減少に伴い、助成予算額はおよそ半額となり、駆除数や路上での死体回収数も大きく減少させたという事実が確認されています。 台東区や練馬区には実際に視察に行かせていただきましたが、共通して行っていることは、とにかく第一に避妊去勢をどんどんと進めて、これ以上増えない環境を作ることでした。 荒川区も、飼い主のいない猫への対策事業が開始されて十年以上がたちますが、開始当初よりも野良猫が減ったという声も確かに確認することができ、成果が上がっていることは確かであります。しかし、近年は人手が足らなくなってきており、停滞してしまっているように感じております。 野良猫への対策は、この後の予算に関する特別委員会等で詳しく議論を行ってまいりたいと思いますが、野良猫は生活環境や公衆衛生面の問題であり、繁殖抑制に携わっているのは、野良猫の個体数を減らしていくために無償ボランティアで御尽力されている方々です。 猫や犬などの動物をテーマに取り上げますと、必ずと言っていいほど、動物よりも人間が先だという声が寄せられることがありますが、人間が暮らしていく環境をよりよいものにするための議論だということを御理解いただきまして、議会でも活発な議論が進められていくべきだと考えます。 多頭飼育崩壊の質問の前提として、猫の繁殖スピードの速さの説明とともに、区内の野良猫への繁殖抑制対策の強化と抜本的な改善をこの場で述べさせていただきました。多頭飼育崩壊の問題に戻らせていただきます。 猫の繁殖スピードの速さは、飼育経験の浅い飼い主の想像をはるかに超えるものです。そのため、飼い主がこれ以上の繁殖を望まないのであれば、飼い猫であっても避妊去勢手術を施すことが必要であり、飼い猫の室内飼育の徹底もなされていない現代社会においては、外に出た際に野良猫と交わる可能性も高いため、その重要性は非常に高いものであると考えます。 今回なぜ多頭飼育崩壊をテーマに取り上げたのかと申しますと、荒川区からも近い葛飾区において、二〇一九年八月に大規模な多頭飼育崩壊が発生いたしました。およそ六畳の部屋に百六十三頭もの猫がいたそうで、私の聞く限りでは最大の飼育崩壊だと思います。 これだけ大規模なものは全国的に見ても極めてまれなケースではありますが、ニュースにならなかったり事例として周知されていないものを含めると、相当数の多頭飼育崩壊が起こっているのが現状です。 環境省の調べによりますと、二〇一八年度に全国の自治体に寄せられた多頭飼育崩壊に関する問い合わせや苦情の件数は合計で二千六十四件に上ると言います。荒川区も決して例外ではなく、私が区議会議員になってからも、荒川区に住んでいた独り身の親族が亡くなり、遺品整理に訪れたところ、複数匹の猫がいて、どうしたらいいかという相談が寄せられました。私の一存では決められない問題でありましたので、区の保健所に相談をするように促した経緯があるため、担当課のほうで把握をされていると思いますが、決して他人ごとではないという危機感を抱くとともに、これは氷山の一角であり、潜在的な多頭飼育は想像以上に多いことを確信し、私自身も現在調査を続けている最中です。 二〇一八年にも荒川区では多頭飼育崩壊が実際に起こっており、区内のボランティア団体が対応に当たったという経緯もあります。 この問題へのアプローチは、福祉分野との協力も必要ではないかと考えています。多頭飼育の事例をひもといていくと、高齢者の独居や生活保護受給世帯などの社会的なつながりが希薄になってしまっている方に多く見受けられる傾向があり、逆に言えば、多頭飼育というのは、そういった社会的なつながりを作っていくことで、改善または防いでいくことができる問題であると私は確信をいたしております。 単純に個人が飼育している猫の問題だと考えてしまえば、動物愛護や個人の責任という議論で完結してしまいますが、そうではなく、社会の中での孤独や孤立ということがこの問題の根幹であると私は考えています。 これらのことを踏まえ、一つ目の質問は、荒川区としては、飼い猫の多頭飼育について、飼育崩壊の潜在可能性を含めて、どの程度の危機感と問題意識を持っているのか、また、どのような対策を講じることができるのかについて、区の認識を伺いたいと思います。 質問するだけでなく、提案を述べさせていただければ、犬だけではなくて、猫の飼育に関しても登録制度の導入をして、多頭飼育にならないような制度を設計していくことや実態の把握をすること、さらに飼い猫に対する避妊去勢手術費用への助成強化、そして、室内飼育を徹底することの周知や指導をすることで、飼い猫が外に散歩に行った際に妊娠して帰ってくるなどの不本意な多頭飼育を防いでいくべきだと考えます。 二つ目の質問として、私の元に届いた相談を実例として挙げましたが、荒川区では多頭飼育または崩壊についての相談が寄せられた際には、どのような対応を行っているのでしょうか。 他の自治体の事例を調べていくと、行政としては、個人の所有する猫であるためにどうすることもできず、飼い主の責任において対処してもらうようアドバイスをして対応を終了するというところもあるようです。 行政の役割として直接介入できる範囲に限界があるということについては否定をいたしません。しかし、そのような相談をしてくる方は、自分では抱え切れなかったり、殺処分や愛護センターに持っていくこともできないといった事情があり、最終的には外に逃がしてしまうという放獣という選択をする人が少なくないと聞いています。 飼い猫を故意に外へ放つというのは法にも抵触をする行為ですが、外に放つのを現行犯で確認しなければ対処できない、言わばやったもの勝ちになってしまっているというのが現実です。 多頭飼育の多くは避妊去勢を施さなかったことによって増えたケースが大半であり、それらを外に放してしまうことは、区が取り組んでいる飼い主のいない猫への対策事業にとっても大きな被害をもたらすだけでなく、住民の生活衛生にも少なからぬ影響を及ぼし、猫が放たれたことに気づくのが遅れれば、質問冒頭で申し上げたとおり、繁殖が進んでしまい、これまでの努力が水泡に帰すこととなってしまいます。 これらのことから、質問と併せて、多頭飼育の現状を把握するとともに、飼育崩壊が起こる前に避妊去勢を行うよう強く求めていくこと、そして、起きた場合の対応を協議して、あらかじめマニュアルを作ることを提案いたします。 三つ目は質問というよりも、提案に近い内容かもしれません。 この問題を衛生事業としてのみ捉えるのではなく、区の福祉事業の担当者とも連携を図り、ケアマネジャーさんや生活保護のケースワーカーさん、民生委員さんなどとも協力して情報収集を行ったり、多頭飼育現場の確認をできるようにする、そして、多頭飼育について行政に相談をするように促す、そうした福祉事業の取組からも多頭飼育の問題解決を図れるようにすることはできないでしょうか。 この提案には、個人情報の取り扱いに対する課題があることはよく理解をしております。しかし、多頭飼育崩壊は起こる前に止めるということが非常に大切であり、制度の整理や改正などを含めて真剣に取り組んでいくべき問題であると考えますが、区としての対応を講じる必要性をどのように認識しているのか伺いたいと思います。 今回の一般質問はあくまで問題提起であり、この先も継続して議論を続けていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 続きまして、二つ目の質問テーマであるごみのポイ捨ての問題に入らせていただきます。 最近、区民からの意見の中で、ごみのポイ捨てをどうにかしてほしいという声が多くなっているように感じています。 この問題に関しても、昨年の決算に関する特別委員会の中では、たばこのポイ捨てと歩きたばこに特化して質疑を行わせていただきましたが、たばこのみならず、一般ごみが多く落ちているという御指摘を区民の方から頂戴いたしております。 個人的な活動として、通勤時や帰宅時にごみ拾いを行っている南千住地域の住民の方がおられまして、その方が二〇一九年の一年間に一人で回収したごみの数は、一万百二十六個にも及び、見方を変えれば、その方がいなければ年間で一万個以上のごみが誰かに拾われるまで放置されていることになり、南千住地域の景観が大きく損なわれるだけでなく、まちの価値も低下させることにつながる非常に重大な問題なのではないでしょうか。 昨日、質問前に現場を実際に確認しておこうと思い、ごみが大量に落ちているとの意見が寄せられている南千住のドナウ通りを実際に確認に行ってきました。植え込みには、靴を買った際に付いてくる箱が投げ捨てられていたり、たばこの吸い殻が多いことはもちろん、ビニール袋や使用済みのティッシュペーパー、アルコール飲料の空き缶が無造作に転がっている光景は、ポイ捨てというよりもはや不法投棄と呼ぶべき状態でした。 あまりにもひどい状態であり、ドナウ通りのバスの停留所付近には交番もあることから、区としての対応のみではなく、警察の方にもこまめに巡回を依頼するなどしたほうがよいのではないかと考えます。 現在行われている環境美化運動としては、定期的な清掃とともに、環境課の皆様が行っているマナーアップキャンペーンがあると思いますが、南千住地域の現状を見るに、その効果は十分ではないと考えております。 ここから質問に入らせていただきます。 第一に、区としては、ドナウ通りを含む南千住地域のみならず、区内の駅前、そしてその周辺において、ごみのポイ捨てが多いという声が区民の方から寄せられているということを認識しているのか、そして、現状ではどのような対策を講じているのかについてお答えをいただきたいと思います。 続きまして、ポイ捨てを減らしていくためには、マナーアップキャンペーンに代表されるように啓発活動を行っていくことは絶対に必要であるということは異論ございません。しかし、ごみのポイ捨てをしてはならないということは子どもでも理解していることであって、しないでください、やめてくださいと訴えかけるだけでは限界があるのではないでしょうか。 そこで、通勤・通学時間帯や帰宅時間に清掃活動を強化することはできないでしょうか。具体的には、清掃を毎日行うようにしたり、時間帯限定でごみ箱の設置を行うことでごみのポイ捨てをしないような環境を、そして落ちているごみの絶対量を減らしていくことで、捨てづらい環境を作っていくべきだと考えますが、区の認識を伺います。 補足をさせていただきますと、ごみ箱の定点設置については、設置がなくなった経緯を伺いましたので、理解をしております。私の提案はあくまでも時間帯を限定したものであり、設置が難しいのであれば、清掃員を増員して、ごみ袋を持った形で移動型のごみ箱とするようなことも含めて答弁をいただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。 最後に、三つ目の質問に移らせていただきます。 マナーアップキャンペーンを応用して、例えば地域住民のボランティアを募り、定期的な活動を行えるような環境を作ることや、地域の小中学校の朝の挨拶運動や放課後の地域活動などに絡めて対策を行っていくことはできないでしょうか。 現在のマナーアップキャンペーンは、主に区の職員の方が時間外に行ってくださっていると聞いておりますが、それでは頻度や区民の方への活動アピールという点ではどうしても限界があると思います。週に一回、少なくても二週間に一回ぐらいは、特定の場所で特定の活動を行っていなければ、地域の意識を変えていくというレベルにはなかなか届かないのではないかと考えます。 この質問の冒頭にも述べさせていただきましたが、幸いにも南千住地域には、自分たちが住むまちをきれいにしたいとの思いで自主的にごみの回収を行ってくださっている区民の方がいらっしゃいます。このような地域の力を区がバックアップしていくことで、地域課題としての認識が進むだけでなく、顔の見える活動になることで、ごみを捨てづらい環境が育まれていくと確信をしています。 私が中学生のときは、生徒会や部活動の中から代表者が学校の校門で毎朝挨拶をするという運動が行われていました。そのような活動を活用して、朝の通勤・通学者への挨拶とともに、ごみのポイ捨てをしないよう呼びかけるなども有効だと思います。 行政だけではなく、住民だけでもない、みんなが協力してまちの環境美化に取り組めば、自然とごみを捨てづらい環境が出来上がっていくのではないでしょうか。 現在行われているマナーアップキャンペーンも市民の方が若干名参加されていると伺っていますが、それをより多くの地域、そして住民を巻き込んだ活動にしていくためにも、もう一歩踏み込んだ政策提案をいただけることを期待いたします。 以上、大きく二つのテーマから第二回目の一般質問を行わせていただきました。どちらも今の荒川区の中で重要な問題であると考えています。多頭飼育の件が典型的ではあると思いますが、ほかの区が具体的な対策を講じていない問題も多く存在しています。必要な対策であれば、他の自治体が行っていなくても、荒川区が先陣を切って進めていくべきであり、周りの様子を伺っているうちに荒川区内で問題が表面化してきてしまっては、本末転倒になってしまいます。 繰り返しになってしまい、大変恐縮ですが、前向きな答弁、そして私の提言を踏まえて、先進的な政策を御提示いただきますようお願いを申し上げまして、第二回目の一般質問を終了いたします。(拍手)   〔健康部長石原浩君登壇〕 ◎健康部長(石原浩君) 荒川区内の猫の多頭飼育に関する御質問のうち、高齢者や低所得世帯での多頭飼育に対する区の問題意識についての御質問にお答えいたします。 区では、猫を飼育する際は望まない繁殖をさせないために不妊去勢手術を行い、適切に飼育していただくよう、区ホームページや区報など様々な広報媒体を通じて啓発するとともに、屋内での適切な飼育についても、飼い主本人に対する直接の御説明や講演会等でのチラシ配布などを通じて周知をしております。また、無秩序にペットが増え、飼い主が適正に飼育できる数の限界を超えた結果、汚物の堆積等の極めて不衛生な生活環境の悪化などを引き起こす、いわゆる多頭飼育崩壊に陥らないよう、区においては、おおむね五頭以上の猫を屋内で飼育している飼い主のうち、半数以上の猫に不妊去勢の手術が行われていない場合には、飼い主に対して雄一頭につき三千円、雌一頭につき六千円を上限として、飼い猫の不妊去勢手術費用の一部を助成するなどの支援を行っているところです。 多頭飼育崩壊が疑われるケースにつきましても、近隣住民をはじめとして、町会や民生委員の方々からの情報提供等に基づき、区の職員が現場を訪問して飼育状況を確認するとともに、適正飼育に関する啓発を行い、避妊去勢手術につなげるなどの方策を取ってまいりました。高齢者や低所得世帯への対応につきましても、多頭飼育崩壊に至る前の段階で適正な飼育を啓発できるよう検討してまいります。 次に、多頭飼育崩壊の相談がなされた場合の区の対応に関する御質問にお答えいたします。 高齢者の方の中には、体調不良による入院などで猫の飼育が困難となり、結果的に猫が置き去りにされてしまう場合がございます。過去の事例においても、猫の多頭飼育による悪臭等が問題となり、区とボランティア、社会福祉協議会、地域包括支援センターなどが連携し、飼い主に代わって猫の世話を行いつつ、新たな飼い主を探すなどの対応を行ったことがあり、区といたしましても課題として認識しているところです。 区では、これまでも、飼い主がいる段階で適切な対応が図られるよう、近隣住民や町会、民生委員等の方々から多頭飼育崩壊が疑われる情報が入り次第、お宅を直接訪問し、飼い主に対して適正飼育の啓発を行うとともに、飼い主や親族に対して、多頭飼育による飼い猫の避妊去勢手術費用の一部助成を紹介しております。今後もボランティアや動物愛護相談センター、警察等と連携しながら対応してまいります。 最後に、多頭飼育崩壊への対策に関する区の認識についての御質問にお答えいたします。 議員御提示の事例は、昨年七月、他区において、六畳一間に百六十三頭の猫がいることが発覚したもので、ボランティアや区、様々な動物愛護団体等が協力して、猫の避妊去勢手術の実施、手術費用の一部助成や新たな飼い主探し、部屋の清掃や餌代の支援などの対応を行い、現在も寄附金や新たな飼い主を募集しております。 こうした事例はかなり極端なものであると認識しておりますが、荒川区内においても多頭飼育崩壊が起こる可能性はあるものと考えております。区といたしましては、多頭飼育崩壊につながるような事例を把握した場合には、速やかに関連部署間において情報を共有し、それぞれの部署の専門性を生かしながら全庁的に連携し、対応していく考えでございます。 今後も引き続き飼い主に対する適正飼育の普及啓発を行うとともに、多頭飼育崩壊に至らない段階での対応に努めてまいります。   〔防災都市づくり部長松土民雄君登壇〕 ◎防災都市づくり部長(松土民雄君) ごみのポイ捨てに関する御質問のうち、駅周辺の対策に関する御質問にお答えいたします。 南千住地域の駅前広場のベンチ周りなど駅周辺の一部でごみのポイ捨てが散見されることにつきましては、区といたしましても認識しているところでございます。また、ごみの捨てづらい環境づくりにつきましても重要な視点であると考えております。 ごみ箱につきましては、地下鉄サリン事件をきっかけにごみの撤去が進み、カラスなどの動物がごみ箱をあさるなど美観を悪化させるほか、衛生面においても環境の悪化が問題となってしまうことがございます。さらに、公園等に設置されているごみ箱に家庭ごみが持ち込まれ、多くのごみを呼び込んでしまうなど様々な課題があるものと認識しております。 こうしたことから、議員御提案の特定の時間帯を含めたごみ箱の設置や清掃員による移動型ごみ箱につきましては、ごみ箱がない時間帯などにごみが置かれることが懸念されるため、慎重に検討すべきであると考えております。 今後につきましては、利用者の意識啓発により一層努めるとともに、ドナウ広場やドナウ通りの清掃の充実など、環境美化対策について鋭意検討してまいります。   〔環境清掃部長池田洋子君登壇〕 ◎環境清掃部長(池田洋子君) ごみのポイ捨て対策に関する御質問にお答えいたします。 区は、他区に先駆けてまちの環境美化条例を制定し、区民の皆様等との協働により環境美化の推進に取り組んでまいりましたが、一部の心ない方によるごみや吸い殻のポイ捨てが行われている現状は認識しております。 区では、これまでも学校や町会、商店街など事業者の皆様とともに取り組む環境美化はもとより、年間を通じて約二十回開催する区内主要六駅を中心とした駅前マナーアップキャンペーン等を実施しており、参加者は延べ千人を超え、増加傾向にあります。 さらに、継続して美化活動に御協力いただいている方々を環境区民大賞で顕彰するほか、小中学生の美化ポスターを区内の掲示板等で紹介するなど、世代を超えてまちの環境美化を促進する取組を展開しているところです。 また、路面ステッカー等の設置による啓発物の掲示のほか、課題のある集積所については清掃車が定期的に巡回するとともに、駅周辺のパトロールを実施するなど区を挙げて美化活動を行っています。加えて、今年度からは、夜間における駅前マナーアップキャンペーンの実施や、区報、ホームページ等と連動したツイッターによる参加の呼びかけや美化活動の紹介の配信も開始いたしました。 こうした取組のほか、昨年秋には、南千住周辺の中学校や事業者の皆様に部活動時間や開店前の時間を活用した夕刻からの美化活動への参加を呼びかけたところ、多くの方々がお集まりくださいました。あいにく当日は雨で中止となってしまいましたが、まちの環境美化への機運の高まりを実感したところです。 区といたしましては、今後も「我がまちは我が手で美しく」のスローガンの下、区民の皆様と手を携えて一層推進してまいります。 ○議長(茂木弘君) 二十五番竹内明浩議員。   〔竹内明浩君登壇〕 ◆二十五番(竹内明浩君) 民主ゆいの会の竹内明浩です。 本年も初心を忘れず、一人一人の気持ちに寄り添い、住み慣れた地域で互いに支え合う社会を目指し、人と人、人と地域が結ばれることによって、子どもから高齢者まで、交流の場と活躍の場、そして輝けるまち荒川区を目指し、取り組んでまいります。 本日は大きく二点にわたり質問をいたします。積極的かつ前向きな答弁をよろしくお願い申し上げます。 まず初めに、骨髄バンクに関するドナー登録の推進と補助制度のさらなる充実について伺います。 骨髄バンク事業は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律に基づき、骨髄・末梢血幹細胞提供、あっせん事業者として日本骨髄バンクが主体となり、日本赤十字及び地方自治体の協力によって行われている公的事業であり、健康な骨髄や末梢血管の移植によって、白血病などの治療が困難な血液疾患の患者さんに生きるチャンスを善意によって広げていく事業であります。 私ごとになりますが、骨髄を提供させていただきました。私は、二〇一七年の四月に川の手荒川まつりにおいて、東京荒川西ライオンズクラブさんの主催する献血活動で献血した際に、東京荒川西ライオンズクラブさんの方に骨髄バンクへの登録はどうですかと誘われて、併設された窓口で日本骨髄バンクにドナー登録をいたしました。 実は、これ以前にも度々ドナー登録には誘われることはあったのですが、それまでは適当な理由を付けて断っていました。断っていた理由も特になかったのですが、あえて言えばよく分からないからでしょうか。もちろん無理解から来る漠然とした怖さもありました。いずれにせよ、骨髄移植についてあまり知識もなく、意識も向いていなかったというのが本音です。 そんな私がこのときは即座にドナー登録をしたのは、この二か月前に妻を亡くしていたことが大きな動機となっていました。 妻はがんを患いました。がんが発覚したときはショックで、妻と二人で気持ちを鼓舞し、がんと徹底的に戦い、やれることは全てやろうと約束をしました。しかし、肝心のやれることがなかなか見つかりませんでした。新薬の治験も含め、様々な情報を集め、可能性を探しましたが、とうとう決定的な治療が見つからないまま、妻は帰らぬ人となりました。我々二人を強く鼓舞したやれることは全てやろうという気持ちだけが行き場を失い、残された私に無力感と助けてあげられなかったという罪悪感として返ってきていました。そんな心境であった私は、知らない誰かでもいい、何かをすることで、この無力感と罪悪感をどうにかしたかったのです。 大分余談が入りましたが、当初はそんな気持ちでしたが、今回、ドナーとして骨髄提供を行う一連の流れの中で、議員としてできることがあるかもしれない、また、医者でもない一般の一個人が患者に対して与えられる希望、さらには助けられる命があるのだと気づかされました。 そして、ドナー登録のきっかけとなった妻の死から三年。本日二月十三日が命日となるこの日に質問できることに対しまして、感慨深いものがございます。 さて、昨年、荒川区議会においても、患者側の立場に立った骨髄移植等によりワクチンの再接種が必要となった方への接種費用を助成する制度の創設を求める意見書が提出をされました。もちろんこの接種費用の助成制度はとても大切な制度ではありますが、その反面、この制度は骨髄移植等ができた患者さんのための制度であり、そもそも骨髄移植ができなければ成り立たない制度でもあります。 骨髄移植ができる条件は、患者とドナー、いわゆる提供者の白血球のHLAと呼ばれる型が一致していなければなりません。赤血球の血液型にA、B、AB、O型といった型があるように、白血球にも血液型があります。この白血球の型が合う確率は、兄弟姉妹間では確率的には四分の一で一致し、血縁者の中に提供者を見つけられる患者は三〇パーセントぐらいとのことでした。しかしながら、現在、御家族の中にドナーが見つからず、日本骨髄バンクへ移植を希望する患者さんとして登録している方は三千人以上いらっしゃいます。 日本人はHLAが似ている人が多く、非血縁者間の場合でも数百から数万分の一の確率で一致すると言われております。ドナー登録者が五十二万人を超えた現在、骨髄バンクに登録した国内の患者さんの約九五パーセントがHLA適合者を見つけることができるようになっておりますが、実際、骨髄提供までいく割合はそのうち約五五パーセントと低くなっております。その要因の一つには、時間的な拘束が大きいと考えられます。患者さんとHLAが適合してから、面接二回、血液検査、自己血貯血、三泊四日の入院、さらには採取後の最終健康診断に至るまで、計八回前後、平日の日中に医療機関へ出向かねばなりません。このことが骨髄提供を断念せざるを得ない大きな要因となっているのではないかと私は考えております。 一人でも多くの患者さんを救うために、選ばれたドナーさんが休暇取得など骨髄を提供しやすい社会環境を整えることも大変重要であると私は考えます。ドナー自身の有給休暇を使うのではなく、勤務先がその休日を特別休暇として認めるドナー休暇制度を導入している企業、団体が今年一月二十一日現在、四百九十九社となっております。しかしながら、このリストを見ますと、ほとんどが大手企業となっており、中小・小規模事業者においてはほぼゼロという状況で、大変厳しい現実となっております。もちろん、中小・小規模事業者にお勤めの方でも提供はされておりますが、ドナーの心理的・肉体的な負担軽減のためにも、社会全体で環境を改善していくべきと考えております。 そこで、伺います。 荒川区として、さらなるドナー登録の推進と現在の助成金制度のさらなる充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。 続いて、若年層に対するドナー登録のための効果的な広報活動の在り方について伺います。 骨髄バンク制度が抱えている課題は、いかにして若年層に登録してもらうかということです。昨年、オリンピック有力候補者であった水泳選手が自らの病気である白血病を公表したことにより、骨髄バンク登録者も一時的には増加いたしました。しかし、登録者数の維持・増加については、今後も引き続き残る課題であると認識をしております。 と申しますのも、直近の登録者数約五十二万七千人の年齢別を見ると、十代が一パーセント、二十代が一五・六パーセント、三十代が二六・四パーセント、四十代四二・四パーセント、五十代一四・五パーセントと、四十代、五十代で約五七パーセントと半数以上を占めており、満五十五歳の誕生日を迎えると登録が取り消しとなるため、毎年二万人以上の方々が登録を外れていくことになります。 今後、この骨髄バンク制度を維持するためには、若年層への普及啓発が急務であると考えます。ドナーとして骨髄提供できる年齢は二十歳から五十五歳の誕生日までですが、登録ができる年齢は、十八歳以上であればできます。 そこで、伺います。 荒川区としても、若年層の区民に対し普及啓発を強化するべきと考えますが、区の見解を伺います。 続いて、高層住宅等の震災対応策について伺います。 荒川区においても、高層建築物に該当する集合住宅が急速に増えております。これらマンションにおいて、地震や風水害といった災害時に必要とされる対策は、一般的な戸建て住宅の住民が取るべき備えとは大きく異なるものと考えられます。 昨年、東京新聞が九月一日の防災の日に合わせて、一戸建て住宅とは異なるマンション特有の防災対策について、東京二十三区各区の防災啓発状況の調査結果を公表しておりました。その記事によりますと、共同住宅の六階以上に住む人の割合としては、荒川区は二十三区中七番目の二三・六パーセントとなっておりました。荒川区としても、マンションに特化した防災パンフ「マンションですすめる防災対策の手引き」の作成やマンション自主防災組織などへの防災資機材助成等施策を展開されており、大変評価できるものでございます。 次のステップとしては、今後は共同住宅にお住まいの方々へのさらなる防災意識向上のため、マンション防災専門家との連携を強化すべきであると考えます。具体的に申しますと、防災専門アドバイザーの派遣であります。千代田、中央、港、新宿、品川、墨田の六区では、マンション防災アドバイザー派遣制度を実施しております。ここ荒川区においては、東京都震災対策条例に基づく地区内残留地区の汐入マンショントキアスでは、防災・震災対策に特に力を入れております。内閣府から派遣された専門家のアドバイスを受けながら、地区の特性に合わせた様々なマンションならではの取組を行っております。 このような専門家による防災出前講座は、高層住宅ばかりではなく、町会においても、地域防災力強化のため取り入れるべき施策と考えます。ただ、現状、防災課だけではとても手が足りないのではないかと思います。そうであるならば、今後は東京都の制度や民間の力を取り入れるべきと考えます。 東京都では、地域防災力向上施策として、東京防災学習セミナーやパパママ東京ぼうさい出前教室等講師派遣を行っております。また、自治体によっては、民間の防災研究所と連携し、防災アドバイザー講師を派遣しているところもございます。 荒川区としても、ひな型のマニュアルを作成したので御活用くださいというスタンスではなく、町会や自治会の要望にも応え、なおかつ積極的に地域防災力向上施策を提案できるよう努めていただきたいと思っております。 そこで、伺います。 町会・自治会の要望に応じ、マニュアル作成や専門家からのアドバイスや防災情報の提供など、その地域の特性に合った防災対策強化ができるよう、荒川区としても、こうした防災アドバイザー派遣制度をさらに活用すべきと考えますが、見解を伺います。 以上、大きく二点にわたり質問いたしますので、前向きな御答弁をどうぞよろしくお願い申し上げます。   〔健康部長石原浩君登壇〕 ◎健康部長(石原浩君) 骨髄バンクに関する御質問のうち、ドナー登録の推進についての御質問にお答えいたします。 日本における非血縁者間の骨髄移植及び末梢血幹細胞移植を必要としている患者は毎年二千人を数えると言われております。骨髄移植及び末梢血幹細胞移植が必要となる主な病気は、血液を作る細胞の異常で、がん化した血液細胞が増え、正常な血液が作られなくなる白血病や、血液を作る細胞の機能が低下し、血液成分が極端に少なくなる再生不良性貧血のほか、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、先天性免疫不全症、代謝異常などがあります。 一方、ドナーの登録者数は、令和元年十二月末現在、五十二万七千人を超えているものの、昨年一月から十二月末までの移植数は千二百件余りとなっており、近年の移植数の推移を見ても、千二百から千三百件程度にとどまっています。 移植を進めていくためには、ドナーと患者の白血球の型を確認する必要がございます。HLA言われるこの型は、ヒト白血球抗原の略で、その組み合わせは数万通りあり、その適合具合によっては拒絶反応などの合併症によって移植の成功率が低くなります。 また、HLA型は兄弟姉妹間では四分の一の確率で一致しますが、親子ではまれにしか一致せず、非血縁者間では数百から数万分の一の確率でしか一致しないと言われています。このため、区といたしましても、より多くのドナー登録を推進していく必要があると認識しております。 区ではこれまで、区報、ホームページへの掲載や区民事務所等へのパンフレットの設置等により事業の周知に努めておりますが、今後、他の区施設や民間施設等においても周知を図るなど、ドナー登録のさらなる普及啓発を図ってまいります。 次に、補助制度のさらなる充実についての御質問にお答えいたします。 現在、区では、骨髄提供したドナーが勤務する事業所に対し、通院及び入院に要した日数に応じ、七日間を上限として一日当たり一万円の助成金をお支払いしています。助成金の額は、都の補助金の基準に基づき、特別区の全ての区において同額となっております。 こうした状況に加え、事業所への助成実績が少ないことから、議員御提案の助成額の拡充につきましては、今後の事業実績の推移を見ながら、単価等の金額の妥当性について十分な検討が必要であると認識しております。 区といたしましては、より多くの希望する区民に患者の命を救うドナーになっていただけるよう、啓発活動を強化してまいります。 次に、若年層へのドナー登録のための効果的な広報活動の在り方に関する御質問にお答えいたします。 日本骨髄バンクによると、昨年一月から十二月までの新規のドナー登録者数は約六万人で、平成三十年の約三万五千人に比べると約二万五千人増、前年比で一七〇パーセントの大幅な増加となっております。議員御指摘のとおり、昨年二月の著名な競泳選手の闘病報道により、骨髄バンクへの関心が全国的に高まり、多くの方々に骨髄バンクを知っていただくきっかけとなったことで、記録的な新規登録者の数になったと言われております。しかしながら、その一方で、満五十五歳の年齢制限等による登録取消者の数は依然として増加傾向にある状況です。 日本骨髄バンクに登録しているドナー登録者数の年代別の割合を見ますと、令和元年十二月末現在、総数約五十二万七千人のうち、四十代と五十代を合わせた割合が約五七パーセントと全体の半分以上を占めており、三十代が二六パーセント、二十代が約一六パーセント、十代に至っては約一パーセントと、特に年齢の若いドナーが少ないことが課題となっております。 また、年齢超過等により毎年二万人以上のドナーが骨髄バンクを卒業している状況もあることから、区といたしましても、若いドナーの登録を推進していく必要があると認識しております。 若い世代へのさらなる周知を図るため、今後、区内の専門学校等に対し、啓発ポスターの掲示やパンフレットの設置を依頼するなど、普及啓発を強化してまいります。 また、庁内関係部署と連携し、区内の学生等を対象として、漫画や動画を用いた分かりやすい啓発媒体等を活用した周知を検討してまいります。 さらに、若い世代がSNSやイベント等を活用して同世代に対して骨髄バンクのPR活動を行う骨髄バンクユースアンバサダー制度についても広く紹介する機会を設けるなど、将来、ドナーとなる世代への普及啓発も図ってまいります。   〔区民生活部長阿部忠資君登壇〕 ◎区民生活部長(阿部忠資君) 高層住宅等の震災対策等に関する御質問にお答えいたします。 区では、昨年、マンション防災マニュアルにつきまして、自助としての食料生活用品に関して、家族の三日分から家族の七日分へと非常用物資の備蓄について修正を行いました。 また、新たに通電火災の項目を追加し、感震ブレーカーの購入や設置工事費の一部助成、高齢者のみの世帯等の特例世帯への感震ブレーカー、自動点灯ライトの無料配布について記載するとともに、トイレ対策を加えるなどの改定を行ったところでございます。 この新たなマンション防災マニュアルにつきましては、防災課窓口で配付したり、ホームページ等でお知らせしたりするなど、高層住宅を含めた共同住宅に居住する方の防災意識の向上に努めております。 一方、高層住宅など五十名以上の方が居住する共同住宅では、消防法令において、防火管理者による管理業務として、消防計画の作成が義務づけられております。この消防計画の中には、東京都震災対策条例の規定に基づき、防災についての任務の分担、家具類の転倒や落下、移動の防止措置、救出・救護等の資機材等の準備や保管、防災に関する教育や訓練など震災に備えるための事前の計画が必須とされております。 また、出火防止や初期消火活動、被害状況の把握、情報収集・伝達、避難場所や避難方法などの震災時の活動計画に加え、電気、ガス、上下水道、通信途絶時の対策や危険物等の二次災害発生防止措置、復旧作業等の実施など、施設再開までの復旧計画についても盛り込むことが定められております。 さらに高層住宅などの共同住宅では、これらの消防計画と併せて、消防署の定期的な立入検査があり、防災対策の強化が図られております。 区といたしましては、今後、消防署と連携しながら、高層住宅をはじめとした共同住宅にマンション防災マニュアルを配付するとともに、消防署が実施する立入検査や防火・防災訓練などの際に個々の防災マニュアルの作成を推進してまいります。 また、防災アドバイザーにつきましては、議員御指摘のとおり、地域の状況に応じて効果的な防災対策についてアドバイスを受けることができる制度と認識しております。 東京都が実施する制度では、高層住宅における防災対策をはじめ、風水害や避難所運営など、高層住宅や町会・自治会の状況に応じてアドバイスを受けて学ぶことができるようになっております。 区といたしましては、こうした制度も活用しながら、地域防災力のさらなる向上に努めてまいります。 ○議長(茂木弘君) 以上で本日の質問は終わります。 以上をもちまして本日の日程は全部終了いたします。 お諮りいたします。本日はこれをもって散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(茂木弘君) 異議ないものと認め、そのように決定いたします。 次回の本会議は、二月十七日午前十時から再開いたします。 本日はこれをもって散会いたします。誠にお疲れさまでした。           午後三時四分散会...